「しゃくれた顎」の三日月顔に悩んだ妻の決断とは※写真はイメージです

成長期から顔が変形
あだ名は「昔々さん」

 生後3ヵ月になる娘の顔を眺めながら、知香さん(仮名・31歳)はふっとため息をついた。

(なんて可愛いんだろう。まあるい顏、ちっちゃな顎、ぷっくりした頬っぺた)

 指先で優しく撫でる仕草には愛情がこもっているが、その瞳はどこか不安そうだ。

(この子も、私みたいに悩む日が来るかもしれない)

 知香さんの悩みは、しゃくれた顎による「三日月」のような顔立ちだ。

 幼い頃はどちらかというと丸顔だったのに、小学校5年生頃から徐々に下あごが突出し始め、高校卒業の頃にはすっかり変貌してしまった。

 テレビに「なんだこのやろう」と、顎の突き出たプロレスラーの物真似をする芸人が出てきたときは付き合いで笑ったが、本当は少しも面白くなかった。

 大学を卒業し、中学の教員になってからは、生徒から「昔々さん」とあだ名された。

 英語の響き、《Long long ago=ロング ロング アゴ=昔々》

 からの発想だという。

(上手いこと言うじゃん)とは思ったが、もちろん笑えない。

 とはいえ、容姿を気にしても始まらない。だからごく普通におしゃれを楽しみ、恋もして、結婚相手もあらわれた。