「腕がウエストみたい」
無遠慮な指摘に傷ついた
「やだ、キミちゃんの腕太っ! 腕っていうよりウエストみたい(爆笑)」
ママ友の無遠慮な指摘に、君江さん(仮名・36歳)は赤面した。
外資系企業に勤務する夫の誠司さん(仮名・36歳)が会社で表彰されることになり、夫婦で出席したオーストラリアでの授賞式とディナーパーティの写真をママ友たちに見せた時のことだ。
サファイア色のイブニングドレスはノースリーブ。骨太・幅広のがっしりした肩から生えた2本の腕は確かに丸太のようで、周囲40㎝以上はありそうだと、君江さんも思う。
(でもそれは、写真の撮り方のせいもあるんじゃないの? それにウエストだなんてあんまりよ。私のウエストはもっと太いわ)
迫力のない反論が頭のなかを渦巻くが、声にならない。
実際はママ友の腕だって、負けず劣らず立派に太い。人のことを笑える立場ではないのだが、夫が表彰されたことや夫婦で海外旅行に招待されたことを喜んでいる君江さんが気に食わないだけなのだ。
要は単なる妬み。聞き流せばいいのに、傷ついた君江さんの気持ちは収まらない。
「絶対、見返してやる。細い腕になってやる!」
決意の炎を燃やすのだった。