ニュースやバラエティ、アニメなど約20番組を、24時間無料でインターネット配信する新たなメディアが誕生した。IT企業大手のサイバーエージェントが、テレビ朝日と組んで開局したインターネットテレビ局「AbemaTV(アベマティーヴィー)」だ。後編では、総指揮を取るサイバーエージェントの藤田晋社長に、「経営者」の側面からこの新事業について聞いた。(聞き手/週刊ダイヤモンド編集部 鈴木崇久)
>>藤田晋CA社長インタビューを前編から読む
テレ朝との協業は必須、テレビ局の
ものづくりのレベルは異常なほど高い
――AbemaTVの開局にこぎつけた裏には、パートナーであるテレビ朝日の早河洋会長と藤田さんとの信頼関係があったと思います。なぜそういう深い信頼関係を築けたのでしょうか。
よく聞かれます。でも、おっしゃる通りで、その信頼関係がないとまず無理な話だったと思うんです。合弁会社として、早河会長と上同士でがっちり、仲良くやっている。
この間、決算説明会で「番組制作にどれくらい主導権を持っているんですか」と質問されて、「主導権って何ですか」という感じでした(笑)。そういうのは一切ないですよ。一心同体でテレビ朝日とやっていて、どっちがコストを持つだとか、そういうことは誰も考えていない。
テレビ朝日から出向してきてくれている現場の人も、すごくAbemaTVを面白がっています。テレビはどうしても、年齢層が高い人向けのコンテンツに寄ることで視聴率稼ぐしかなくなっているので、若い人向けにコンテンツを作れるというのは、若いディレクターなんかは、水を得た魚のような目をしています。
――今回の新事業は、戦略的にテレビ業界で広げていた人脈が生きたのでしょうか。
そんな下心を持って近づいたわけではないです(笑)。
実際、最後にはサイバーエージェントが動画事業に参入するとは思っていたんですけど、テレビ局が必要だとは思っていなかったんですよ。まあ、コンテンツは買ってくればいいし、番組制作も外注できるだろうと。
でも、今やってみて分かったのは、テレビ局は必須です。毎日作り続けているので、テレビ局の人たちのコンテンツ制作能力、ものづくりのレベルの高さは異常なほど高い。代替ができないんですよ。やってみて初めて分かりました。これはニュースもバラエティもそうです。
番組のオリジナル制作をするAbemaTVのビジネスモデルを考えたら、間違いなく必要です。
――ただ、事業をやる前にテレビ朝日には声をかけていますよね。テレビ局が必要と思うに至ったのはなぜですか。