もしも、妻が崇さんに未練たらたらで「気持ちを断ち切れないから」離婚に応じられないのなら、「既成事実を突きつける作戦」は上手くいくかもしれません。「彼女がいるんじゃ、しょうがない。別れましょう」と。

愛情なくても「夫の不倫」に妻は嫉妬
離婚成立には逆効果でしかない

 しかし、崇さん夫婦はすでに何回も離婚の話をしているので、妻は崇さんに対する愛情なんて、ひとかけらも残っていないでしょう。妻が離婚に応じない理由は「愛情の有無」など全く関係ありません。とにかく大嫌いでムカつく、顔も見たくない夫が「離婚したい」と言うので、妻はわざと反対のこと(離婚したくない)を言い返しているだけ。ただ単に崇さんに対する恨みを晴らしているだけなのです。

 まだ離婚の話が煮詰まっていない段階なら、妻は「気持ちの整理がつかない」「まだやり直せる」「子どものためにならない」などの理由を挙げ、綺麗な形で離婚を避けようとしていたかもしれませんが、もう、そういう次元ではないのです。ただただ、崇さんを困らせることしか頭にないのだから。それなのに「アイツはまだ俺に未練があるから、なかなか踏ん切りがつかないのだろう」とは勘違いも甚だしいです。

 なかなか解せないかもしれませんが、愛情はなくとも妻は「夫の不倫」に嫉妬するのです。だから、妻が既成事実を知れば、「夫への恨み」に嫉妬心が上乗せされるので、余計に意固地になり、「離婚しない方向」に舵を切るのは必然です。

「自分の都合で離婚したいと言い出すなんて。私よりほかの女を選ぶなんて。女の存在を明かして私を追い込もうとするなんて。もう絶対に離婚してあげない!」という具合に。

 私は崇さんに対して間違っても彼女の存在を妻に伝えないよう釘を刺さざるを得ませんでした。既成事実を作るという作戦は、火に油を注ぐだけで、残念ながら、離婚成立はさらに遠のきます。「逆効果」だと言い切っても過言ではありません。

(露木行政書士事務所代表 露木幸彦)