カストロ前議長邸も手がけた
世田谷区の小さな造園会社
東京都世田谷区で造園業を営む小杉造園は、従業員80名ながら、海外で10ヵ所の日本庭園を造り、日本庭園を愛する世界中の人々に知られている。
本社を訪ねると、会議スペースの横に、不思議な形をした木彫のオブジェがあった。2016年11月に亡くなったキューバの英雄、フィデル・カストロ前議長からのプレゼントである。同社3代目社長の小杉左岐(70歳)は、こう語る。
「カストロ前議長のご子息のアントニオ・カストロさん(キューバ野球連盟および国際野球連盟の副会長)と知り合った縁で、前議長の自宅に小さな庭園を無償で造らせてもらいました。実に質素な普通の家でしてね、逆に驚きました。前議長は喜んでくれて、お礼にと居間にあったこのオブジェを頂戴したんです。アントニオさんの結婚式にも参加し、今も定期的にお会いしています」
小杉は年齢を感じさせないエネルギッシュさで世界中を駆け回っている。2017年1月にはリトアニア、アゼルバイジャン、スロベニアを回って商談を済ませてきた。リトアニアもアゼルバイジャンも金持ちの個人が日本庭園を自宅などにつくりたいという依頼があった。
2月にはバーレーンのガーデニングショーに参加、3ブースを借りて出展する。中東諸国からの来訪客も日本庭園には興味を持っているので、顧客になる可能性が高い。
さらに3月には世田谷商工会議所の会員十数名を引き連れて、キューバ訪問だ。社長だけではない。小杉造園では社員たちも毎年50人ほど海外研修に送り出す。4月には40~50人がスロベニアへ出かける予定だ。毎回1000万円ほども費用がかかるが、「世界で仕事するときに必要な投資」と、小杉は意に介さない。