吉村克己
化粧品の原材料を製造・販売し、世界25カ国の企業と取引する実力派メーカーが「高級アルコール工業」(千葉県成田市)だ。従業員数は101人と決して多くないが、22年度の売上高は過去最高の75億円、海外売上高比率は20%に達している。同社は日本のバブル崩壊を機に海外に打って出たものの、進出当初は苦戦していた。そこから海外事業が軌道に乗った背景には、「ある老紳士との出会い」があった――。

京都府宇治市の金属加工メーカー、HILLTOP。この企業には、製造業の担い手である「職人」が存在しない。工場には最先端の加工機が並び、24時間連続での無人稼働を実現している。この先進的なビジネスモデルは世界的な機関・企業から注目されており、今ではNASAやウォルト・ディズニー・カンパニー、そして「GAFA」の一角とも取引があるという。そんな同社は、実はベンチャー企業などではなく、1961年の創業時は小さな鉄工所だった。そこから、どのようにして世界で戦えるまでに成長したのか。

静岡県に本社を置く食品メーカー、カメヤ食品。従業員100人(社員40人・パート60人)の小さな企業は、実は海外事業に強みを持つ。伊豆産のわさびを使用した「ふりかけ」や「おろしわさび」が海外で人気を獲得し、EU・北米・韓国・中国などへの展開に成功しているのだ。かつては採算が取れず、海外事業から「無念の撤退」を余儀なくされた同社は、そこからいかにして再挑戦を果たしたのか。

「草刈機まさお」など、ユニークな商品を数多く手がける動力運搬車メーカー・筑水キャニコム(福岡県うきは市)。同社は「ダジャレ農機」の発売後、メディアで取り上げられる機会が増えたが、知名度アップに甘んじることなく地道に事業を拡大。今では年間売上高が70億円に上る。海外事業にも力を入れており、取引先は51カ国、海外売上高比率は約50%に達する。その成長過程を、商品のネーミングを担う代表取締役会長・包行(かねゆき)均氏に聞いた。

エネルギー問題の解決を目的に、国際協力によって核融合技術の実現を目指す「ITER計画」。その一環で製造されている実験炉に、部品を供給している中小メーカーがある。それが埼玉県入間郡に製造拠点を置く大和合金だ。同社は高い製造技術を持つほか、社員が望む限り、定年後も働き続けられるユニークな制度を持つ。最高齢の社員は87歳である。その創業秘話と、世界が認めた技術力の源泉に迫る。

エアコンのモーター異常による発火を防ぐ「プロテクター」で世界シェア7割、地震時のガス漏れを防ぐ「感震器」で国内シェア9割――。一般消費者を危険から守る「縁の下の力持ち」といえる製品を生み出し、国内外で高い支持を得ているのが生方製作所(愛知県名古屋市)だ。地方発の中小メーカーが、いかにして海外に進出し、プロテクターなどの商品を拡販できたのか。その背景に迫る。

東京都が戸建てを含む中小規模新築建物における太陽光パネル設置義務を打ち出した。果たして都民にはどのような影響が出るか、新築戸建ての施主として注意するべきことは何か、太陽光発電の販売・施工などに20年間携わり、現在、太陽光発電を含むエネルギーソリューション事業を営む小島盛利氏に聞いた。

手術の際、皮膚や組織を縫い合わせるために使う「縫合針」。ニッチな製品だが、メーカーの生存競争は激しい。昭和30年代から40年代前半にかけて、国内に縫合針メーカーは30社程度あったようだが、現在では数社しかない。その中で生き残っているのが、従業員がわずか70人の老舗「医研工業」だ。現在は日本だけでなく中国などに進出しているが、いかにして国際競争力を獲得したのか。

1933年からばねを作り続け、現在は「自動車用ばね」に特化している老舗メーカーの村田発條。本社は栃木県宇都宮市にあり、単体での従業員数は約300人と、決して大きな会社とはいえない。にもかかわらず、米国、中国、メキシコに工場を持ち、海外納入先にはゼネラルモーターズ(GM)やフォードなどが名を連ねる。宇都宮発の中小メーカーは、どのようにして海外進出を成功させたのか。

コールセンターのオムニチャネル化に早くから着目し、海外企業が開発した接客用ITツールの代理店販売などを行っている企業がある。従業員は150人中60人が海外人材で、2021年度の売上高は17億円と好調だ。だが、創業者はかつて出版社のIT部門に勤めており、英語は不得手だった。異色の転身の背景に何があったのか。

宮崎県串間市という小さな市で生まれた農業ベンチャーのくしまアオイファームが、サツマイモの出荷量および輸出シェアで日本一を成し遂げた。業績も順調に拡大し、2020年度の通期売上高は15億円に達した。同社はそれで満足せず、「世界一」を目指して海外進出にも力を入れている。船便で輸出してもイモが腐りにくい特殊な包装紙を開発したり、キズの自然治癒力を高める特殊な冷蔵庫を導入したりと、本気度は相当なものだ。その背景には、社長のどんな思いがあるのだろうか。

キッチンのコンロやIHヒーターの上に設置する排気設備「レンジフード」。家庭の換気を支える同設備の供給台数において、国内で圧倒的首位のメーカーが富士工業である。だが同社は、食文化や生活習慣の違いにより、必ずしもレンジフードが売れるとは限らない中で、あえてアジア市場に進出した。なぜ国内事業が盤石な中、海外に打って出たのか。

約20年前からテレワークに着目し、関連するソフトウエアを開発するとともに、在宅勤務を実践してきた会社がある。それが、東京都千代田区に本社を置くe-Janネットワークスだ。今では創業社長も在宅勤務をしているというが、一体どんな経緯で成長を遂げてきたのか。

海外に出かける際、空港でスマートフォンやWi-Fiルーターを借りるのは常識になりつつある。このビジネスを20年以上前に始め、市場のパイオニアになった企業がテレコムスクエアだ。創業者は通信業界ではなく日本マクドナルドの出身だが、どのようにして会社を大きくしたのか。

カップの上に紙バッグをセットし、お湯を注ぐだけでコーヒーが楽しめる「ドリップバッグコーヒー」。日本ではおなじみの商品だが、実は近年まで米国では普及していなかった。この“盲点”に着目して米国で起業し、ナスダック上場を成し遂げた日本人男性がいる。この男性の意外な経歴と、会社を大きくした過程に迫る。

電子計測器などの修理・保守を手掛ける京西テクノス(東京都多摩市)が、独自路線で業績を急拡大させている。2021年度決算におけるグループ売上高は113億円で、16年度の2.5倍に伸びた。好業績の裏側には、日本に軸足を置きながら海外に取引先を増やす、ある独自戦略があった。

小さい頃にした野菜作りの思い出が忘れられず、新卒入社先を半年で退職――。農園運営などを手掛けるベンチャー、マイファームの西辻社長は、そんな経緯で同社を立ち上げた。今では農園の運営事業などが好調で、2021年度の売上高は16億円に達する見込みである。同社の独特の事業内容と、西辻社長の創業後の苦労に迫る。

ペットボトルや調味料などのボトルには、フィルム包装が欠かせない。商品名や価格などが記されたもので、ボトルに貼り付ける際は「シュリンク包装機」という機械を使うのが一般的だ。中でも、竜巻状の温風をボトルに吹き付けて吸着する「トルネード」という機械が人気で、日本、米国、EU諸国など25カ国で売れている。開発元の社長はコンサルティング会社出身で、亡き父の跡を継いで会社を成長させた。その手腕とは?

宇宙ビジネス市場において世界的な認知度を高めているのが、日本発の宇宙ベンチャーであるSpaceBDだ。同社は三井物産から独立した永崎将利が2017年に設立し、“日本初の宇宙商社”を名乗っている。その斬新なビジネスモデルと、起業に至った背景に迫る。

横浜市にあるメーカーのスリーハイは、水道管の凍結防止などに役立つ業務用ヒーターを製造販売している。国内での業績は堅調で、取引先は6800社に上る。だが2代目社長の男澤誠は「国内だけを相手にしていると、いずれ頭打ちになる」と、18年から海外展開の準備を進めてきた。海外からインターンを集めて社内の英語講師を任せるなど、独自施策に力を入れている男澤だが、実は若手時代は無気力な「ダメ社員」だった…。
