米国市場、稼ぐ力 巨額の研究開発費 ホンダが抱える懸念

 だがホンダには三つの懸念がある。売り上げ収益の半分を稼ぎ出す北米事業は、17年度も好調を維持する見通しだ。これは、前述したように新車サイクルの奏功が下支えしていることが大きい。

 しかし、それも一巡し、18年度は乗用車のフルモデルチェンジが途絶える可能性が高い。中長期の“踊り場”に来たとき、ホンダは好業績を維持できるのか。これが市場の注視する第一の懸念だ。

 第二は、四輪事業単体で見れば、トヨタ自動車や日産自動車と比べて高コストで稼ぐ力に劣る点だ。

 営業利益率は15年度の3.4%から6%に向上し、トヨタの7.2%、日産の6.3%に迫る勢いだが、事業別で見れば、四輪事業は4.9%にすぎない(図(3))。

 ホンダの高収益をけん引しているのは営業利益率9.9%の二輪事業だ。二輪はインドで初めて生産台数が500万台を超えるなど新興国で高い収益力を誇る。赤字を垂れ流し続ける航空機事業などを鑑みれば、四輪を二輪並みに収益改善させることが急務だろう。

 だが、それも難しそうだ。第三の懸念として、高止まりする研究開発費があるためだ。

 17年度の研究開発費は、前年度から646億円増加し7500億円。売上高に対する研究開発費の比率は、トヨタや日産より高い(図(4))。研究開発費の拡大は、いずれ収益を圧迫することになる。

 だが、競合他社との提携で陣営を拡大するトヨタと日産に対し、ホンダは“孤高”であるが故に自前の研究開発費が増大するのはいわば必然だ。

 問題は、この巨額投資が、八郷隆弘社長が掲げる「ホンダらしさ」の追求につながるかどうかだ。

 ホンダは昨年12月に米グーグルの持ち株会社アルファベットで自動運転技術を手掛ける子会社Waymoとの共同研究の検討開始を発表、今年3月には日立オートモティブシステムズと電動車両用モーター事業の合弁会社設立に関する契約を結ぶなど「オープンイノベーション」を進めてはいる。

 だが協業は商品を画一化し、ホンダらしい独自技術を失うことになりかねない。「昔に比べてホンダのエンジン技術は陳腐。だからF1でも勝てない」。業界でささやかれる「開発力枯渇」の疑念を、ホンダは払拭できるのだろうか。

 かつてホンダは世界販売600万台を目指したが、こうした規模を追う方針を八郷社長が撤回し、商品力重視の戦略に転じた経緯がある。

 好調な業績に支えられた今こそ、「技術開発力のホンダ」復活への道筋を確かなものにしなければならない。その進捗を市場は静かに注視している。