ホンダの青山真二執行役員(右)と日本郵便の福田聖輝副社長。両社は半世紀にわたり協業する旧知の仲だ Photo by Akira Yamamoto

ホンダは日本郵便と電動二輪車分野で提携する。まずは、日本郵便が保有する約9万台の配達用バイクにホンダの電動二輪車を導入していくほか、充電インフラの普及などで協業する。だが実は、提携の真の狙いは別のところにある。ホンダが描く電動二輪車「普及計画」の野望に迫った。(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)

「電動化技術やコストの観点からなかなか普及が進まなかったが、今回の提携は大きなチャンスになる」。ホンダの青山真二取締役執行役員は、そう意気込みを見せた。

 ホンダと日本郵便は、二輪車の電動化分野での協業を決めた。日本郵便の配達用バイクへの電動二輪車の導入や、郵便局への充電ステーションの設置などが主な柱だ。

 提携の狙いは二つある。一つ目は、電動二輪車の拡販だ。もとはといえば、両社は「スーパーカブ」をベースとした配達用バイクで50年も前から協力する間柄。知らない仲ではない。今回、約9万台という膨大な配達用バイクの保有台数を誇る日本郵便との提携により、ホンダは電動二輪車の普及に一気に弾みをつけることになる。

 二つ目は、二輪事業の「サービス化」に向けた伏線だ。協業範囲には、ホンダ独自のテレマティクスサービスである「ホンダビズリンク」を使った実証実験が含まれている。ビズリンクは、スマートフォンやタブレット端末などから車両の位置情報をGPS(衛星利用測位システム)で把握し、走行履歴などを管理するシステム。効率的な配送ルートの提案や、速度超過のチェックといった安全支援などを行うことができる。