日本の医師は“生涯現役”
認知機能を測定する仕組みを

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 医療制度の視点からも課題がある。たとえば医師免許の定年制や更新制の導入だ。日本ではこれらの導入の是非をめぐりこれまで何度か議論されてきたが、まだ実現していない。そのため、行政処分で免許を取り消されるなどしない限り、いったん医師免許を取得すれば“生涯現役”で診療に従事できる。

 米国の医師免許にも定年制はないが、更新制は導入されている。そして最近では、高齢の医師を対象に、臨床能力や認知機能を測定する新たな仕組みの導入の是非を検討する動きが出始めているという。

 津川さんは、ある年齢に達した医師を一律に引退させるような仕組みの導入には慎重なスタンスだ。年齢に伴い認知機能がどれだけ低下するかには非常に大きな個人差があるからだが、「たとえばリスク補正後の死亡率が極端に高い医師には何かが起きている可能性がある。もしも認知機能や運動機能が極端に低下しているのなら、何らかの形で介入する仕組みが必要だ」とも。

 人類史上に前例のないほどの高齢社会を目前にして、日本では医療現場でも高齢化が進んでいる。こうした仕組みの導入をあらためて話し合う時期に来ているのかもしれない。