SNSのブームによって、衰退した日本のナンパ文化。同時に、かつてナンパ師が闊歩した繁華街も、今や健全な街へと様変わりした。ナンパ全盛期だった1990年代の街を知る人物に、ナンパストリートの今昔を語ってもらった。(フリーライター 中村未来)
条例で健全化された
アジア最大の歓楽街・歌舞伎町
アジア最大の歓楽街と言われる新宿・歌舞伎町。しかし、ギラギラしたオトナの誘惑溢れる街だったのは遠い昔のこと。2013年に歌舞伎町で施行された『客引き行為禁止条例』によって健全化した歌舞伎町には、昨今、外国人観光客が溢れかえっている。
歌舞伎町のみならず、渋谷や池袋、六本木など、都内屈指の繁華街は、いずれも老若男女が足を運ぶ安心安全な街へと変貌した。そんな賑わう街の現状を寂しがるのが、合コンスナイパーであり、ナンパ師でもある桜井涼氏(Twitterアカウントは@sniper_saku)。健全化した街には、昔のような猥雑な面白さがまるでないと嘆く。
「歌舞伎町といえば、ストナン(=ストリートナンパ)のメッカ。1990年代頃が全盛期でしたね。歌舞伎町だけでなく、あの頃の繁華街はどこも、ナンパしてる男とキャッチしてる男で溢れかえってましたから。女のコの取り合いになって揉めてるなんてのも日常茶飯事でしたよ」
特にナンパ師が集ったのが、新宿・歌舞伎町。コマ劇場に続くセントラルロードの入り口がナンパのメッカだった。
「歌舞伎町で遊んでこれから帰るってコたちは、必ずこの道を通るんです。だから終電前の時間帯には、セントラルロードの前はナンパの男だらけ。ボクは友達とコンビ組んで、可愛いコに片っ端から声かけてましたね」