「ダイエー復活」宣言も筋書き見えないイオンの前途多難株主総会では、過去のダイエーの栄光を賞賛してみせた岡田社長(右)だが、規模の拡大だけでは勝ち目はない Photo :JIJI

 ダイエー復活か──。かつて総合スーパー(GMS)の雄として小売業界を牽引した同社は、1990年代後半から経営危機に陥り、2004年に産業再生機構の支援の下で再建をスタート。丸紅、イオンとの資本提携を経て、15年にイオンが完全子会社化し、現在は同社傘下の食品スーパーとしての道を歩んでいる。しかし業績は低迷し続けており、17年2月期も71億円の営業赤字だった。

 だがイオンの岡田元也社長は、5月24日の株主総会で公表した「イオングループ経営方針」で、連結営業収益(売上高)を8兆2101億円から約16%増の9兆5000億円、営業利益を1847億円から57%増の2900億円とする中期経営計画の数値目標を公表するとともに、不振に喘いできたダイエーのV字回復を宣言したのだ。

 岡田社長は長年続いたダイエーの不振の原因を、当初の産業再生機構のスキームにあるとみているようで、この日も機構について「銀行がダイエーに貸したお金を返すため、優良な子会社や店舗など売れるモノを売ってしまった」と不満をぶちまけた。

 岡田社長のV字回復のシナリオはこうだ。近畿地方で、ダイエーを軸に他のイオン傘下の食品スーパーを統合し、現状3000億円程度のダイエーの単体売上高を、20年2月期に7000億円と倍以上に増やす。

 営業利益目標は示されていないが、今期(18年2月期)中には黒字化できる見通しという。