「100%再エネ」で企業誘致にハウス栽培、路面電車…脱炭素化“先行地域”73自治体が開く未来北九州市の響灘地区は港湾が整備されている利点を生かして今後、洋上風力の開発を推進し、風力発電関連産業を集積させる方針だ Photo:PIXTA

「脱炭素先行地域」、73自治体で取り組み
もはや「環境か、経済か」ではない

 地域の電力を風力や太陽光などの100%再生エネルギーで賄い、企業誘致や関連産業の集積、公共インフラ整備などで地域活性化につなげる取り組みが全国の73自治体で始まっている。

 かつて温暖化対策は追加コストをもたらすので、「地域の競争力や生活水準の向上にとってマイナスだ」というのがこれまでの“常識”だった。つまり、環境と経済はトレードオフ関係にあるというわけだ。

 だが、いまや企業は、工場などの立地を決定する際に電力を100%再生可能エネルギー(以下「再エネ」)で賄えそうかどうかを重視するようになった。よく知られているように、米アップルはサプライチェーン企業に対して、使用電力を100%再エネで賄うように求めている(“RE100”)。アップルとの取引を継続したければ、企業は「RE100」を目指さざるをえない。

 こうした流れの中で、地方自治体でも「脱炭素こそが地域発展につながる」という機運が強まっている。

 事業の担い手となる専門人材育成や資金確保、地域の資源の有効活用などの課題を抱える中で、試行錯誤が続くが、そう言ってもあながち間違いとはいえない時代が、すぐそこまで来ている。