未訳の最新ビジネス洋書のエッセンスが詰まった書評レポートを、PDFファイルで閲覧・ダウンロード提供する本連載。今回取り上げるのは、『30秒以内で要点を伝える方法』です。(書評レポート提供/エグゼクティブブックサマリー)
米メディア業界の著名人が指南する
コミュニケーションテクニック
「うちの上司はいつも人の話しをきちんと聞いてくれない……」、「あれだけ丁寧に説明したのに、全然理解してくれていない……」、こんな悔しい思いをしたことがある方は、意外と多いのではないでしょうか。
今回は、コミュニケーションテクニックの真髄についてまとめられた洋書をご紹介致しましょう。
著者のミロ・O・フランクは、俳優のエージェント、タレントの指導、CBSテレビのキャスティング、およびMGMフューチャーフィルムの脚本家兼プロデューサー、シネラマのプロダクション副社長を長きにわたって務めています。また、政財界の人々向けのコミュニケーションセミナーなどを開講しており、表舞台には出て来ないものの、米メディア業界では非常に有名な人物です。そんな経歴の著者が書いた本書は、コミュニケーションテクニックをまとめ上げた良書と言えます。
とくにプレゼンテーションやコミュニケーションスキルを重要視するアメリカでは、刊行以降、安定して売れ続けているロングセラーです。そもそも、多忙を極める企業の決定権者や上司に企画などの自分の考えを伝える場合、時間をかけることは難しいものです。いかに短時間で要点だけを伝え、興味を持たせることができるかどうかが成否を分けます。とはいえ、上手く自分の意図を伝えることができない人は多いものです。
「意図を伝えることができない」。原因は様々だと思います。言語表現能力に乏しいこともあるのですが、逆にあまりにも表現能力に長けていて抽象的な説明になってしまうパターン。また、自分の伝えたい事をなるべく丁寧に細かく説明した方が、相手はより深く理解してくれるであろうと一生懸命に説明をするパターンもあります。いずれのパターンにしても、相手に伝わらなければ何もならないわけですし、言いたい事を誤解して受け取られてしまう可能性もあります。
本書では、タイトル通り、「30秒で自分の要点を伝える」ノウハウについて詳しく書かれています。30秒で、というのは一見大げさに思えますが、それが決して誇張でも何もないことは、読み進めていくうちに理解出来ると思います。著者のミロ・O・フランクは30秒間という短い時間を使って相手に的確なメッセージを伝え、相手の興味を引き、要点を伝えることが出来さえすれば、そこから商談や交渉、提案などが一気に進むと言っています。
この30秒メッセージを作るテクニックを学ぶことで、自分の考えや文章あるいは話に意識を集中させることが出来、より効果的に会議を進行したり、人前で話をしたりすることが可能になります。このテクニックは、①目的を明確にし、②聞き手を理解し、③正しいアプローチを明確にするという3つのステップから構成されており、最も効果的なメッセージの組み立て方から、それを人に伝える方法まで、誰もが簡単にそのロジックを身につけることができるよう、実践的な内容が書かれています。
また、本書では、セールストーク、記者会見など様々なコミュニケーションの形で、30秒メッセージを活用する方法なども紹介されており、話すことそのものに苦手意識を持つ人も、本書を読むことによって、自身が伝えたい事の要点を掴み、相手の興味を引くコミュニケーションをとることが出来ると思います。
ビジネスパーソンをはじめ、多くの人に自信を持っておすすめできる、類い稀なる良書です。
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