一般的には、この二つはほぼ同じ動きをするというのが常識だが、内閣府の試算は、金利をいつまでも日銀がコントロールできるという前提で算定されている。加えて、経済成長率が金利よりは高くても、PB均衡が図られていない状況では、その「乖離幅」が縮まれば、、税収が増えない分、国債発行が増えるので、財政赤字が生じ、債務残高のGGP比は悪化する。

 慶応大学の土居丈朗教授の試算では、金利が低くても、成長率が低くなると、債務残高GDP比も縮小しない。

◆図表3:政府債務対GDPと名目成長率


出典:「財政健全化目標を債務対GDP比に代えてもぬか喜び」(東京財団税・社会保障調査室) 土居丈明慶応大学教授 拡大画像表示


 最後に、PB黒字化という、財政赤字を抑える枠組みが後ろに置かれると、歳出削減の努力が低下し、財政規律が緩んでしまう。毎年度の予算編成の「よりどころ」がなくなるのである。

 このように見てくると、第1段階としてPBの均衡・黒字化を図り、そのごの第2弾として財政収支の均衡化、ひいては債務残高GDP比という健全化目標の達成をめざすことが正しい道筋だ。

 くれぐれも安倍首相は財政健全化の“成果”を安易なやり方で求めようとせず財政再建の順番を間違えないでほしい。また「総理の意向」を経済財政諮問会議が「忖度」したものではないことを祈っている。

(中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員 森信茂樹)