月々の家賃収入は170万円で、ローン返済額は120万円。残った50万円から固定資産税や健康保険料を納めると、手元に残る金額はごくわずかだ。

 だが大東の営業マンは、「1戸につき、たったの3000円ですよ」と家賃の引き下げを要求。応じれば最終的な収支は完全に赤字だ。周囲には、大東の言うままに家賃を下げて赤字となり、アパートを手放したオーナーも複数いる。

 津川さんのアパートの空室率は常時10%程度で、「大東は自社管理物件の入居率を平均で約97%とアピールしているが、とても信じられない」。かつて大東から建物の外壁塗装を1800万円で持ち掛けられたが、別の業者に見積もりを依頼すると、総額900万円で済むと言われるなど、大東への不信感は根強い。

 にもかかわらず、“村”の周辺では、住宅の少ない田んぼや草原の端っこにも、大東や大和ハウス工業ののぼりが立ったアパートが今なお建設されており、「大東と大和の2社で熾烈な受注争いがあったようだ」(付近住民)。

 大東でほぼ埋め尽くされた“村”だが、その南端ではついに大和が一矢報いたのか、4月末に大和のアパートが完成した──。

相続税の節税策がアパート建設を誘発

 今、複数の要因が絡まり合ってこうしたアパート建設のみならず、ワンルームマンションなど収益不動産への投資が熱を帯びている。

 まず、マクロ的要因として大きいのが、日本銀行による超低金利政策。行き場を失ったマネーが不動産市場に流れ込み、不動産価格を押し上げ、キャピタルゲイン狙いの投資が増加した。