その一方で、ただでさえ預貸率(預金に占める貸出金の比率)の低下に苦しむ銀行をはじめとした金融機関は低金利によって運用難に陥り、担保を取りやすい不動産への融資姿勢を強めている。

 極め付きは、2015年1月の相続税の増税だ。これまでの基礎控除から4割減となったことで、相続税の課税対象者が倍増。アパート建設など、相続税の節税効果が最も高い収益不動産を活用した節税策がブームと化した。

 その結果が、アパート融資残高の顕著な伸びで、今や融資残高は22兆4000億円を超えるに至っている。

 言わずもがな、主たる事業者であるアパート建設会社やハウスメーカーの販売額も右肩上がりだ。

 だが、その反動はすでに出始めている。不動産調査会社タスの調査によれば、すでに15年半ばから賃貸住宅の空室率は大幅な上昇基調にあるからだ。もっとも、このデータは満室稼働の賃貸物件を除いているため数値が高く出がちだが、過年度比較をすると上昇基調なのは間違いない。

 ましてや、今後の人口動態に鑑みれば、全体的に人口が減少していくのみならず、賃貸住宅の主要顧客層である20~49歳人口の急速な減少が重くのしかかるのは明白だ。

 また、社会問題化しつつある空き家の増加についても、33年には3軒に1軒が空き家になるとの調査があるほど。

 その中で、地方を中心とした賃貸アパート建設が増加しているのは、明らかに間尺に合わない。金融庁や日銀が一部の金融機関の融資姿勢に対して、警鐘を鳴らし始めたが、それはつい最近のことだ。