SGHDと日立物流は資本・業務提携を結んでいるが、経営統合に発展するのだろうか Photo:毎日新聞社/アフロ

佐川急便を中核子会社に持つSGホールディングスが早ければ秋にも東京証券取引所に上場する。株式市場での注目度はいまひとつだが、物流業界は「再編機運が高まる」と色めき立っている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)

「株式上場は、日立物流と統合するための布石だろう」。6月14日、宅配大手の佐川急便を中核子会社に持つSGホールディングス(HD)が東京証券取引所に株式上場を申請したことを受け、物流業界ではこうした観測が飛び交っている。SGHDは早ければ9月にも上場し、時価総額は数千億円規模になる見込みだ。

 関係者によると、佐川が上場を意識し始めたのは10年ほど前。現会長の栗和田榮一氏がSGHDを設立し、持ち株会社体制に移行したころからという。栗和田氏は、リクルート出身でダイエー社長を務めた髙木邦夫氏を社外取締役に任命。2014年には栗和田氏がSGHD社長を退き、リクルートコスモス(現コスモスイニシア)社長を4年務めた町田公志氏を後継に充てた。

 外部から登用した人材も加わって進めてきたのが、宅配依存から脱却するために事業を多角化し、「アジアの総合物流企業」を目指すことだ。そのため、企業の倉庫内業務や幹線輸送など物流全般を請け負う3PL事業に力を入れ、グループ横断型営業を強化。物流施設に特化したREIT(不動産投資信託)も新設し軌道に乗せた。