小規模な企業にとって便利なレンタルオフィスは、もはや一般的だが、名古屋のタスクールという会社のサービスでは、オフィスと一緒に雑用をやってくれる社員まで付いてくる。社員は時給で雇うことができ、請求書を送らせたり、秘書業務をさせたりと自由に使うことが可能だそう。この社員付きレンタルオフィスがどのように誕生したのか、ビジネスとしての可能性はどうなのか。運営会社のタスクールに話を聞いた。(取材・文/寺島知裕)
社員付きレンタルオフィスは
どのようにして生まれたのか?
中小企業診断士の資格を持つ渡邉智浩社長が、2012年に名古屋で仲間と起こした『タスクール』は、起業家や就職活動中の学生に向けたビジネス全般のサポート会社だ。会員に向けてのビジネスセミナー開催、コワーキングスペースを提供する会社としてスタートした。
社員付きレンタルオフィスは、会員たちの会話から生まれたサービスだそう。
「皆さんが“秘書が欲しい”と、よく言うんですね。でも“人を雇う余裕はない”とも言う。これは多くの個人事業主や起業家が抱える悩みです。それで“じゃあ、うちの社員を貸しましょうか”という流れになった。そこからスタートしたサービスです」
タスクールという企業名は「task+school」の造語。仕事+学校。すなわちビジネスを学ぶという意味を持たせてスタートした会社だが、利用者の声を拾いながら事業を拡大してきた。“社員を貸す”という言葉をヒントに、新たに『タスクールPlus』という会社を立ち上げ、社員付きレンタルオフィスを提供することに。
「レンタルオフィスだけならどこにでもありますよね。だから以前から他ではやっていない、何か差別化できるサービスはないかと考えていた。そんなとき“社員付き”というキーワードが出てきたんです」
これは一定の需要があるのではないかと閃いた。資金的にまだ余裕のないフリーランスや起業家の会員向けに、“社員をシェアする”という発想だ。
「社長の体ひとつ、手ぶらで入居できる社員付きレンタルオフィスあり」――。これがスタート時のキャッチコピーだった。