ダイヤモンド社のビジネス情報サイト

月契約で音楽聴き放題!
アップルの前に現れた伏兵スポティファイが目指す
デジタル音楽市場の創造的破壊

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第155回】 2011年7月29日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
2

 もはやユーザーは楽曲を購入することもなく、まるで家賃を払うように、所有せずに楽しむことことができる。これは、現在、デジタル音楽流通の70%前後を握っているというアップルへの挑戦でもあることは、間違いない。

 iTunesストアでの値段は、通常、1曲あたり1.29ドル。4曲購入すれば、すぐにスポティファイのベーシックプランの料金を超える。8曲でプレミアムプランの料金を超える。数曲と1500万曲との違いは、かなり大きい。しかもスポティファイは、契約しているレコード会社であるソニー、EMI、ワーナー、ユニバーサル、そして多くの独立系レーベルから、毎週そのコレクションを増やしている。

 クラウドからデジタル音楽を提供するサービスなので、ネット接続さえしていれば、いつでもどこでも利用が可能だ。アップルも同じくクラウドサービスを今秋開始する計画だが、クラウドからストリーミングできるのは、自分が買った楽曲だけに限られるところが、大きな違いである。

 アメリカでのサービスを開始した7月14日から1週間で7万人の有料契約ユーザーを獲得したという。ホームグランドのヨーロッパでは、すでに160万人の有料契約ユーザーがいる。アメリカでは1年間で5000万人のユーザー獲得を目指しているとも言われ、新大陸開拓への鼻息は荒い。

 スポティファイは2008年にスウェーデンで設立された。共同創設者で現在CEOを務めるのはダニエル・エルク。14歳の時に最初の会社を設立して以来、さまざまな会社を起業してきた。現在弱冠28歳で、社員250人のスポティファイを率いている。

 同社はこれまで1億8300万ポンドの資金を募っており、出資者の中には、香港の大実業家、李嘉誠の他、アメリカの有力ベンチャーキャピタルであるクライナー・パーキンスやアクセル・パートナーズもいる。ピカいちの支援体制のもと、スポティファイは、アップルが牛耳るデジタル音楽市場の創造的破壊に挑んでいる。

previous page
2
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

ビジネスモデルの破壊者たち

シュンペーターの創造的破壊を地で行く世界の革新企業の最新動向と未来戦略を、シリコンバレー在住のジャーナリストがつぶさに分析します。

「ビジネスモデルの破壊者たち」

⇒バックナンバー一覧