原油相場の下値不安が強まっている。米国産原油の指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は、OPEC(石油輸出国機構)総会が開催された5月25日に1バレル=52.00ドルの高値を付けた後、2割近く下落し、40ドルの節目に迫る動きとなった。

 6月の主な相場の動きを追うと、まず、1日には、トランプ米大統領が地球温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」から離脱すると表明し、規制緩和などを通じて米国からの原油供給が増加するとの思惑が強まった。

 5日には、サウジアラビアやアラブ首長国連邦がカタールとの外交関係を断絶すると発表したことを受けて、OPEC主導による協調減産の取り組みに悪影響が及ぶことが懸念された。

 7日には、EIA(米エネルギー情報局)が発表した週次石油統計において、原油とガソリンの在庫が市場予想に反して増加したため、供給過剰観測が強まった。14日もEIAの週次統計での在庫増が相場下落材料になった。