大分の宇佐神宮では
本庁と全面戦争に発展

 大分県宇佐市の宇佐神宮。祭神・信仰別の神社数で全国4万社あまりという神社界の“最大勢力”である「八幡宮」の総本宮で、伊勢神宮に次ぐ有力神社として出雲大社や明治神宮などと共に名が挙がる有名神社である。

 宇佐神宮を地元で支え続けてきた県神社庁宇佐支部が今年5月、氏子などで構成される支部総代会総会で、前代未聞の決議を行った。

 その中身は、「高圧的、独善的な宮司に関係修復をする心は皆無」と宇佐神宮の新任宮司を批判し、宇佐神宮の祭典や、遷宮に対する氏子への寄付要請を一切拒否することなどが盛り込まれた事実上の“絶縁状”だ。こうした事態に、県の神社関係者、本庁関係者は「本庁と大分の全面戦争の様相だ」とため息をつく。

大分県神社庁宇佐支部は総代会総会で、前代未聞の決議を行った

 “戦端”は昨年2月、宇佐神宮に新たな宮司が着任したことで開かれた。

 新任宮司とは、今特集「瓦解する神社」第1回の記事(「神社本庁で不可解な不動産取引、刑事告訴も飛び出す大騒動勃発」)で、疑惑の不動産取引を主導した本庁幹部の1人とされる前総務部長の小野崇之氏、その人だ。

 本題に入る前に、宇佐神宮で起きた宮司職を巡る過去のいきさつを説明しよう。

 時計の針を08年に巻き戻す。先代の宮司が亡くなったため、世襲家である到津家で唯一の末裔となった女性が急遽、神職の資格を取得。その上で、女性が宮司になるまでの“中継ぎ役”として、当時の県神社庁長が宮司を務めていた。だが、この年、その中継ぎ役がこの世を去ってしまったのだ。

 宇佐神宮の責任役員会は、その死の直前、女性を新しい宮司にすべしという具申を行ったが、本庁側は女性の経験不足を理由に拒否し、またも当時の県神社庁長を特任宮司(任期3年程度)として任命する。