買収した米シメトラの純利益から、のれん代などの償却負担を差し引いた収支はマイナスになってしまっているものの、シメトラから「収益力に見合う範囲」で約200億円の配当を受け取っているといい、同様に単体の利益に貢献していると説明する。

 両社に共通するのは、のれん代の償却負担が重く、純利益から差し引いた最終的な収支という分かりやすい指標で、利益貢献する姿を見せにくいことだ。

 その代わりに、単体への配当という手段を有効活用し、利益貢献しているというロジックを、何とか構築しようとしているようにも映る。

 さらに言えば、買収元の親会社に多額の配当を出したことによって、スタンコープ、シメトラの両社にとってみれば、期間収益が内部留保として自社にほとんど蓄積されず、財務基盤の強化につなげにくくなってしまうというデメリットがあるわけだ。

求められる顧客本位の情報開示

 万が一の損失などに備えて、財務基盤を少しでも強化しておきたいという動機は、特に明治安田傘下のスタンコープの方が働きやすいだろう。

 スタンコープの中核子会社となるスタンダード社の財務書類(法定会計ベース)を見ると、運用資産全体のうち約6割は債券。残りの約4割を相対的に高い利回りが見込める商業用不動産ローンに振り向けており、かなりアグレッシブな運用をしているからだ。

 不動産ローンの用途のうち、半分は小売り施設向けで、オフィスも約2割を占めている(図(3))。年間のローン組成額は漸増傾向にあり、スタンコープとしての高い収益力を下支えしているともいえるが、足元で商業用不動産は、民間調査の価格指数が08年の金融危機時を大きく上回るなど、過熱感が強まっている。

 懸念されるのは、そうした運用リスクの実情をはじめ、先述した純利益や配当の状況など、スタンコープをめぐる開示情報が、第一や住友のそれと比べて圧倒的に少なく、問い合わせベースでしか知ることができないということだ。

 社員である「契約者が買収についての理解を深めるためにも、一段ときめ細かな情報開示」(金融庁幹部)が今後求められそうだ。