電力不足は全国に広がり、今夏どころか今冬も節電モードとなる可能性が高くなっている。冬は夏とは逆にエアコンの温度設定が「低め」になり、電車もオフィスも冷え冷えとするかもしれない。

「身体が冷えて困る」と頭を抱えるのは女性だけではない。今、巷で急増中と言われている冷え症体質の男性、いわゆる“冷え症男子”にとっても大きな悩みの種だ。

 ネットマーケティング会社のアイシェアが2009年11月に実施した冷え症に関するアンケートによると、20~40代の男性で「体に冷えを感じることがある」と答えた人は、61.5%にも上る。しかし、そのうち実際に衣服や食べ物、入浴などで「冷え対策」をした経験がある男性は、28.8%に過ぎない。

 体の冷えは女性だけの症状ではなく、実は男性の6割が“冷え症男子”であり、しかもそのうち7割は何も対処できぬまま、人知れず悩んでいるのが実態なのだ。冷えは放っておくと全身の機能が低下し、肌荒れや下痢、不眠、風邪など様々な不調を引き起こす。そこに追い討ちをかけるのが、今冬の節電の可能性である。少し気が早いが、今年こそは何らかの冷え対策を考える必要があるだろう。

 そこで、注目したいのが「腹巻パンツ」だ。これは、日本のオジサンアイテムの決定版であり、サザエさんの波平の部屋着としてもお馴染みのあの腹巻を、男性用パンツと一体化させた新種のアンダーウエアである。男性用腹巻単体では、昨年末にファッショナブルなデザインが登場して話題をさらったが、その応用タイプの便利アイテムとして、名乗りを上げているのだ。

ウンナナクールの男性用「はらパン」は、パンツ本体がファッショナブル。中心価格帯は2310~2625円(税込)。

 まずは、ワコールの子会社であるウンナナクールが展開する肌着ブランド「LuncH(ランチ)」から、今年1月下旬に発売された「メンズはらまきパンツ」(通称はらパン)である。

 同社は5年前から女性用腹巻付きパンツを販売し、好調だったことから、今年は男性用ボクサーパンツタイプの発売に踏み切った。「開発スタッフにお腹の弱い男性が多かったり、一部のブログで男性はお腹を壊しやすいことが取り上げられていた。男性にもお腹を暖めたいという需要があると考えた」と、同社は背景を話す。

 全国のLuncHショップやワコールウェブストア、通販サイトのZOZOTOWNなどで販売されている。女性が男性向けギフトとして購入するケースが8割と圧倒的に多く、半年で1000枚ほど売り上げた。

ヘインズの「はらまきボクサー」は、腹巻部がバンダナ柄やペイズリー柄など実にお洒落。1575円(税込)。

 一方、ヘインズブランズジャパンは、8月下旬から全国の百貨店、ジーンズカジュアル専門店、量販店、公式オンラインストア、楽天イーショップなどで、腹巻とボクサーブリーフが一体化した「はらまきボクサー」を発売する。特徴は、腹巻部が非常にファッショナブルなことだ。腹巻部をシャツやアウターと組み合わせて見せるなど、若者特有の「見せパン」に似たコーディネートも楽しめる。

「若い男性の間ではステテコが流行るなど、昔のオジサンアイテムへの抵抗感がなくなり、むしろ新しいファッションとして取り入れる機運がある。また、女性で大ヒットしたレギンスが男性の間でも人気になるといった、最近のトレンドパターンにも着目した」(ヘインズ)。

 つまり同じ文脈で、腹巻パンツもヒットが望めるというわけだ。前出のウンナナクールでは、「節電の影響もあり、ありのままの気温や季節を楽しみながら過ごすスタイルが定着し、昔から愛されている快適素材が見直されている」と、日本人のライフスタイルの変化も指摘する。今冬、腹巻パンツは冷え症男子にとどまらず、ニッポン男子の必須アイテムになる可能性もありそうだ。

(大来 俊/5時から作家塾(R)