背後に何かの勢力がいるのか
メッセージに「洗脳」の意図が見える?

 それにしても疑問が残る。このチラシの宛先は、いったい誰なのだろうか。反福祉論を標榜する政治家なのだろうか。それとも、他の誰かなのだろうか。

 ミサトさんは「団地に撒かれたことを考えれば、低所得層に向けたメッセージだろうと思います」という。

「『自分たちは、必死に働いて税金を納めているのに!』『働きもせずに、生活保護を受給して“のうのう”と暮らしているやつらは許せない』という気持ちを植え付けたいのかな、と私は思いました。『生活保護は不正受給が多くて大変』『働けるのに働かない生活保護』というような偏見は偏見でしかありませんが、低所得層に向けて『保護世帯とは』という洗脳的な感じもします。不満を煽って、生活保護世帯を絶対悪に仕立て上げたいのでしょうか?」(ミサトさん)

 私は考えこんでしまった。“洗脳”と考えるには、あまりにも愚かすぎる内容であるようにも思える。しかし、貧困状態にある人を“絶対悪”とみなすような考え方をする人々は少なくない。ミサトさんによれば、「チラシを配布しているのは外国人の生活保護に反対する右翼的団体だろう」という説もあるということだ。私は「組織がバックにあるにしては、あまりにも“お粗末”ではないか」と思うが、コメントを求めた生活保護ケースワーカーからも「政治的勢力かも」という見方はあった。

「いずれにしても、なんだか偏りすぎている考え方だなあと感じます。憲法25条は国民全員のための権利です。権利であるということは、するかしないかを選べるということですよね? 保護を受けるも受けないも自由です。それなのに……」(ミサトさん)

 チラシには「生活保護は現物支給化すべき」という主張もあるが、ミサトさんはそこにも違和感を覚えている。「食べられていれば良い」という生活は、健康で「文化的」な最低限度の生活とは呼べないからだ。それに、生活費の何に重点を置いて支出配分を考えるかは、「最低生活保障」と並ぶ生活保護の目的、「自立の助長」の重要な側面だ。