「地域全体が家族のような付き合いをしているからでしょうか。通常、避難所設営といえば、パーテーションと段ボールベッド…になるわけですが、今回は、『パーテーションはどけてほしい。みんなの姿が見えないのは不安』という要望があり、使いませんでした。また、段ボールベッドもそれほど導入することができませんでした。医学的には正しくても、住民の要望が優先ですから。必要とする支援にも地域性があるのだと、改めて感じました」(小早川氏)

コミュニティに属することを嫌う
都市住民をどう守るか

「地域性を考慮した支援」という観点から近藤氏は、同様の災害が、首都圏で発生した場合についての懸念を語る。

「熊本では特に、エコノミークラス症候群の発生が問題になりました。避難所に入らず、車内泊している方が多かったので、早い時期から注意の呼び掛けを行っていましたが、防ぎきれませんでした。

 もし、あのような、避難しなければならない災害が東京都などで発生した場合、熊本とは比べ物にならないくらい、大勢の避難者が車内泊すると予測されます。首都圏ではコミュニティに属していない方が多いので、避難所に入ることを敬遠される方も増えるでしょう。そうした方々を、どのように支援したらいいのか、答えはまだ見つかっていません」(近藤氏)

 医療支援以前に、安否確認も相当手間取りそうだ。なにせ、隣にどんな人が住んでいるかさえ分からない、集合住宅も少なくないのだから。