2016年は台風の上陸が相次ぎ、各地に被害をもたらした。現在も、今年に入って7個目の上陸となる台風18号が猛威をふるっている。とりわけ首都圏は水害の影響を受けやすく、対策は急務だ。それにしてもなぜ、こんなにも水に弱い都市になってしまったのか(「リスク対策.com」誌2014年9月25日号掲載の記事を再掲したものです)。
2013年9月、スイスの再保険会社「スイス・リー」は「自然災害で最も危険な都市ランキング」を発表。世界616都市を対象にした調査で被災者数を分析した結果、「東京・横浜」は第1位となってしまった。
災害カテゴリー別に見ても「津波」で1位、「暴風雨」で2位、「高潮」で3位、「洪水」で6位と、世界で最も自然災害の影響を受けやすい都市の1つと言える。
東京の水害リスクについて、元都庁職員で江戸川区の土木課長としてゼロメートル地帯の治水対策に当たった経歴を持つ、公益財団法人リバーフロント研究所理事の土屋信行氏は「東京は水害対策を実施してきているが、それ以上のスピードで人口集中や経済集中が起きているため、結果としてリスクとしては増大している」と危機感を募らせる。
明治の産業革命以降の
地下水利用で地盤が沈下
2010年4月に出された中央防災会議「大規模水害対策に関する専門調査会」の報告書によると、利根川が広域氾濫し、首都圏に広域被害をもたらしたとする想定結果は、浸水面積530平方km、死者数2600人、孤立者数110万人。荒川右岸低地氾濫による被害想定は浸水面積110平方km、死者数2000人、孤立者数86万人。特に利根川の支流である江戸川と荒川に挟まれた江戸川区、葛飾区では浸水継続時間が14日以上になる可能性が指摘され、その被害は甚大だ。
◆首都圏における大規模水害の被害想定結果