メールでは流暢な文章でも
電話での会話はたどたどしく…

 早速、「ご連絡いただきありがとうございます。私は相談員の松岡と申します。お辛い状況にあるようですね。一度、お電話にてお話を伺いたいのですが、いかがでしょうか。Aさんのご意向をお聞かせください」と、返信。AさんからすぐにOKのメールが届き、今度は電話で相談を受けることになりました。

 電話でAさんの話を聞くと、メールの時と少しばかり違う印象です。

Aさん「課長が、職場のエアコンの温度設定について、クレームを言うんです」
松岡「誰に言うんですか?」
Aさん「私に…」
松岡「温度設定についてのクレームをAさんに言うんですね」
Aさん「あっ、はい。私ばかりにです」
松岡「Aさんばかりに?他の人には言わないんですか?」

 こんな具合です。メールでは実に流暢な文章だったのに、電話での会話となると、そうではありません。彼の言いたいことを理解するには、かなり丁寧なやりとりが必要になります。Aさんのペースに合わせて傾聴していくと、課長から「Aくんは、人の話をきちんと聞かない」と度々言われる、という話に行きつきました。

 課長が言うには、「相手の目を見て、話をしない。話を聞かない」のだそうです。数日前も会議室に連れていかれ、課長と2人きりで小一時間も「目を見て話せ」と説教されたそうです。しかしAさんは、相手の目を見て会話することができないし、そうしようと頑張ると呼吸が苦しくなって、せき込んでしまい、倒れそうになってしまうのだそうです。

 冒頭のメールにあった「目を見て、話すことができません。辛いです」は、ここにつながりました。

発達障害は
どんな病気か?

“発達障害”――そんな言葉が私の頭をよぎりました。発達障害は、脳機能に偏りがあることで引き起こされる生まれつきの病気のことで、自閉症(高機能自閉症を含む)、ADHD(注意欠如多動性障害)、LD(学習障害)などがあり、アスペルガー症候群も発達障害と呼ばれる病気の一つです(*)。

*発達障害に関する内容は明確な定義がないため、書かれている内容が人によって一部異なること、ご了承ください。