1 苦情処理シートづくり
お客様相手のビジネスをしている限り、苦情から解放されることはない。しかしながら、苦情の原因となる要素を取り除き、苦情を減らすことはできるはずだ。寄せられた苦情とその解決方法を苦情処理シートに記録して活用すれば、情報を共有できるし、商品やサービスを改善する際のヒントともなる。つまり、ビジネスヒントの宝庫ができあがるわけだ。
もちろん、苦情にどう対応すればうまくいくのか、どんなことがあると交渉がこじれてしまうのか、実例ほど勉強になる材料はない。再発防止や研修用に、またマニュアルを作成するためにも、苦情処理シートは必須のアイテムと言える。
すぐに書けて誰でも引き継げるシート
苦情処理シートいっても、難しいものは必要ない。お客様の氏名、住所、電話番号、連絡しやすい時間、やり取りの経過、決着の内容などを記す枠をつくっておく。いつ、誰と、どんなやり取りがあって、どうしたかが、誰にでもわかるようにしておくことが重要だ。対応する者が変わっても、それまでの経過がわかるようにすることを心がける。最初に対応した人でなくても、シートを見れば円滑に引き継いで対応できることが理想だ。
苦情をスピーディーに処理できても、シートづくりに時間がかかっては本末転倒である。書き込むのが面倒なシートをつくってしまうと、記載に漏れが多くなる懸念もある。より多くの事例を後で役立つように蓄積するには、手軽に素早く書き込めるシートづくりがカギになる。
書き込み項目のうち、年齢(年代)や性別は、○印を付ければ対応できるよう選択式にしておくとよい。また、苦情の種類は、後で分類しやすいよう、あらかじめいくつかの類型を決めておき、やはり○印を付けていくようにする。経過については、転記するのが面倒なら、メモを貼り付けておけばよいだろう。もちろん、パソコンで管理できるようにしてもよいが、ハードディスクに書き込むだけでは緊急時に役に立たない。そのため、必ず印刷してファイリングしておくことが大事だ。職場によって、最も継続しやすい方法を従業員と相談しながら工夫していただきたい。