15年間、TOEICテストを毎回受験しているTOEICのカリスマ講師で、『TOEIC L&R テスト パート7攻略 ――中村澄子のリーディング新・解答のテクニック』を出版した中村澄子先生に聞く、TOEIC攻略のコツ。連載1回目は、パート7(長文読解問題)についてです。
苦手な人が多い
TOEICの長文読解問題
私が、TOEICテストを毎回受け続けて15年になります。
東京の八重洲で、TOEICの教室を始めて12年、それ以前にも単発のセミナーを行ったり、企業研修を行っていたので、合わせると20年近く、TOEICを教え、ビジネスパーソンを中心に、多くの人の点数アップに貢献してきました。
おかげ様で、今までに出したTOEIC関連の本も、累計で110万部になります。
この連載では、TOEIC(L&R リスニング&リーディング)テストのノウハウをお伝えしたいと思います。
今日は、特にパート7(長文読解問題)について、解説しましょう。
2016年5月に、TOEIC(L&R)はテスト内容の10年ぶりの改変があり、仕事で英語を使う人にとっては、非常に良いテストになりました。
一方で、英語初学者にとっては、より厳しいテストに変わり、何から手をつけていいのかわからず、うろたえている人も多いようです。
TOEICは、リスニングセクション(パート1~4)とリーディングセクション(パート5~7)で構成されています。
昨年の改変により、すべてのパートが難化しましたが、特に、パート7の長文読解問題は、難しいと感じる人が多いようです。
問題数が増え、文は長くなり
設問の難易度も上がった
パート7は、改変前とくらべて問題数が増え、リーディングセクション100問中54問を占めるようになりました。
それだけでなく、問題文の長さも長くなり、解答に時間のかかる一文挿入問題(文を挿入するのに適切な位置を選ぶ問題)や、トリプルパッセージ問題(3つの文書を読ん答える問題)も加わりました。
また、問題文に書かれていることから「推測」をしなければ解けない問題や、問題文の2ヵ所以上をチェックしなければ解けない問題も多く、とにかく解答に時間がかかります。
内容をきちんと理解しなければ解けないものが大半で、いわゆる飛ばし読みは通用しません。
そこで、英文を読むことから逃げていた人も、覚悟を決めて、パート7に取り組まなければならなくなりました。
・問題数が増えた
・問題文が長くなった
・「一文挿入問題」が出題されるようになった
・「3つの文書を読んで答える問題」が出題されるようになった
・答えが直接書かれておらず、「推測」しなければ解けない問題も多い
・2ヵ所、3ヵ所をチェックしないと解けない問題もある
新形式に完全対応した
問題集や対策本で練習する
パート7の問題を、テスト時間内に解き終えられるようにするには、大量の英文を短時間で読んで、その趣旨を理解できる力が必要です。そのためには、
(1)まず、文法を理解し、最初は戻り読みでもいいので、少し長めの一文を読めるようにする。
(2)次のステップとして、戻り読みを卒業するために、スラッシュリーディング(英文の切りのいいところに線を入れながら、英文を前から読んでいく方法)をしながら、なるべく速いスピードで、英文を前から読めるようにする。
こうした地道な努力は、どうしても避けられません。
その上で、パート7によく出る文書(メールや手紙、広告、記事、ウェブページなど)や、よく出る設問パターンを、時間を測って、大量に読んで解く練習をします。
そのときに、ピントのずれた問題集を使っては、遠回りになります。
テスト実施団体である「国際ビジネスコミュニケーションズ」発行の公式問題集を中心に、実際にTOEICを受験していて、TOEICを知り尽くしている講師による本を選ぶことも重要です。
今回、私が『TOEIC L&R テスト パート7攻略 ―中村澄子のリーディング新・解答のテクニック』を出版したのは、改変後のパート7の対策がしっかりできる本が、まだ、あまり出版されておらず、私の教室生やメルマガの読者から、リクエストの声が多数あったからです。
TOEICは勉強しがいのあるテスト
よく教室生から、「速くよめるようになるための近道はないのでしょうか?」という質問を受けます。
残念ながら、前述のステップを踏まなければ、パート7の英文を、制限時間内に読んで解けるようにはなりません。
ただ、ここで頑張れば、TOEICの点が上がるだけでなく、ビジネスで実際に英語を使うときの土台になります。
パート7で毎回のように出題されるメールや手紙は、ビジネスで使われる形式や内容に近いので、読み込む練習をすることで、仕事でメールや手紙を書く際に英文が出てきやすくなるのです。
私は15年、毎回TOEICを受け続けてきましたが、テスト内容は年々進化を続け、「仕事の現場でそのまま使える英語」にどんどん近づいてきました。
ですから、「昇進や昇給に必要だから…」といった事情があってもなくても、グローバル社会を生きるビジネスパーソンにとって、TOEICは、勉強してソンのないテストと言えます。
なにかと忙しい中で、TOEICにも取り組むのは、たいへんだと思います。だからこそ、効率よく学べるよう、私も、本やこの連載などを通じて、攻略のコツをお伝えできればと思います。