長らく男子学生比率が高く、「男の大学」と思われてきた法政大。しかし、女性総長の誕生や、さまざまな改革が奏功して、近年は女子学生志願者が増加し、今年春の総志願者数では、私大激戦区・東京でナンバーワンに躍り出た。(「大学通信」 情報調査・編集部部長 井沢秀)
「男の大学」だった
法政大に女子志願者が増えた理由
早稲田大、慶應義塾大、上智大…。受験生に人気が高い私立大学の大半は東京に一極集中している。その激戦区・東京で今春の志願者が最も多かったのは、実は法政大だった。
前年に初めて10万人を超え、今年は過去最高の11万9206人となり12万人に届く勢いだ。これまでは早稲田大の志願者数を上回ることができず2位が最高だったが、初めて東京の大学の中でトップになったのだ。
法政大の躍進を支えた一因は女子の増加。代々木ゼミナール教育総合研究所の坂口幸世氏は、こう話す。
「20年前は“男の大学”というイメージでしたが、近年は女子学生がとても目立つようになりました。法政大に注目する女子が増えることにより、全体の志願者数が増えている側面があります」
少子化で受験人口が減る中、有名大学であっても優秀な女子をいかに取り込むかが生き残りの条件となる。そうした中、法政大の女子の志願者数は、1997年の1万3410人から2017年は4万1158人に増え、総志願者に占める女子の割合は、22%から34.5%に上がっている。20年前に女子が総志願者の2割だったのなら、坂口氏が指摘する、“男の大学”というのもうなずける。では何故女子が増えたのだろうか。
「市ヶ谷キャンパス(東京・千代田区)にタワー型の高層校舎を設置するなどの改革によりキャンパスがきれいになり、授業以外の時間もくつろげる場所になったことが女子受験生をひきつけたのでしょう。さらに大幅な改組により、女子も含めた多様な受験生が集まりやすい学部・学科構成になっていることも影響しています」(同上)