賃金が下がったり、職を失うことが当たり前の時代になりました。明日は我が身、と誰もが実感しています。リストラに直面しても、悠然としていられる、そんな生き方をしたいものです。それができるのが賃貸経営です。
●極意その1●不動産投資の目的をハッキリさせる
不動産投資と一口に言っても、その目的によって、採るべき手段は異なってくる。「安定収入の確保なのか、節税対策なのか、相続・贈与対策なのか。不動産投資の目的がハッキリして初めて、プランづくりがスタートします」と、積水ハウス東京シャーメゾン事業本部長の堀内容介さんは話す。
そのうえで、預貯金や年収などを考慮し、安定した生活を確保できるよう基本計画を立てる。借入金をアテにして分不相応な計画を立てると、上手くいかなかったときのキズが大きい。
なんといってもプランニングが成否を分ける面が大きいので、リスクを織り込んで経費は高めに、収入は堅めに計画していく。「わからなければ、プロに相談してもいいのでは」と、ネクスト・アイズ代表の小野信一さん。
とはいえ、「コンサルティングを依頼するにしても、財務や不動産の知識をしっかり持っておくことが、投資の前提」と、財営コンサルティング代表の山崎隆さんは指摘する。相談相手の信頼性を判断できないからだ。
●極意その2●貸す側ではなく借りる側の視点で考える
「利回り重視でプランを立てても、入居者が出て行ってしまえば絵空事。いかに入居者ニーズをつかむかが成功のポイント」というのは、大和ハウス取締役の堀福次郎さんだ。立地を選ぶのも、設備・仕様を決めるのも、「入居者が求めているかどうか」を基準にする。
不動産投資の成功者(本誌をご覧ください!)も、「下見に来た方が『ステキ』と思うデザインにもこだわりました」(横山利香さん)、「他の物件よりいいなと感じてもらえるよう、アパートのベンツやアルマーニを目指しています」(白岩貢さん)と語っている。
「キッチンが決め手」と語るのは、山崎さん。2~3口のコンロ、大型冷蔵庫が入るスペースなどが必須だという。また、ワンルームでも浴室とトイレが独立していることも重要。
「入居者はまずネットで検索して物件を探すことが多い。『独立した浴室』でなければ、初めから競争の舞台には上がれません」。リーマン・ショック以降、おうち志向が強まっており、入居者はこれまで以上に物件探しにシビアになっている。
(取材・文/米田真理子、イラスト/大塚砂織)
*ダイヤモンド・ザイ2011年9月号に掲載。特集は「買いの電力株5&高配当株20」。そのほか「読者20人の毎月分配型ファンドの損得をメッタ斬り!」「新興国株&資源の買い方・売り方」なども掲載。特別付録は全1033銘柄を完全掲載した「株主優待大カタログ2011」。