「優しい人」が食いものにされる。“テイカー”があなたの時間を奪う構図
誰しも悩みや不安は尽きないもの。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)など、33万部突破シリーズの原点となった『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日一日がラクになる!

自分を守るために大切な視点
今日は、「人の相談に乗るときのコツ」について、自分を守るという観点からお話ししたいと思います。
「いいよ」と思える相談と
「めんどくさいな」と感じる相談の違い
人から「ちょっと相談があるんだけど…」と言われた経験、誰しもあると思います。
私自身、それを言われたときに「いいよ、話そう」と思えるときと、「なんかめんどくさそうだな」と身構えるときがあります。
この違いは何だろうと考えてみたところ、ひとつのポイントに行きつきました。それは、その相手が「自分のことを自分でできる人」=精神的に自立しているかどうか、という点です。
自立している人の相談は
むしろ助けたくなる
精神的に自立していて、自分のことをしっかりやっている人から相談されると、こちらも構えずに話を聞けます。
「自分の意見が少しでも役に立つならうれしいな」と思えるし、むしろ前向きな気持ちになります。
自立していない人の相談は
どこまでも続く恐れがある
反対に、自立していない人からの相談は、最初から違和感を覚えます。なぜなら、その相談は“1回で終わらない”可能性が高いからです。
話を聞いたが最後、「次もお願い」「これもやって」と、だんだんと頼まれる内容がエスカレートしていく……最終的には、まるでこちらが“やってあげる前提”のような雰囲気になっていきます。
境界線を越えてくる「テイカー」に注意!
こういう人たちは、心理学でいう「テイカー」と同じような存在です。
テイカーとは、常に自分の利益を優先し、他人から多くを受け取ろうとする人。
テイカーは他人のリソースを奪うことに無自覚で、気づけばこちらの生活の中にズカズカと入り込んできます。
「相談」という形をとりながら、気づけば「あれもこれもお願い」という状態に……。最初は頼みごとのつもりでなくても、徐々に「やってくれて当たり前」という空気を醸してくるのです。
相手が自立しているかどうかを
最初に見極めよう
ですから、人から相談されたときは、最初が肝心です。そのときに「この人、自立してるかな?」と一度立ち止まって考えることをおすすめします。
精神的に自立している相手なら問題ありませんが、そうでない場合は要注意です。
「ちょっと嫌だな」「この人の相談には乗りたくないな」と感じたときは、やんわりと断るのも大切です。
自分の気持ちに素直になることが
自分を守る第一歩
私は比較的、自分の気持ちに素直なタイプですので、嫌だと思ったら「今回はごめんね」と断りますし、いいと思ったら快く話を聞きます。
しかし、人によっては「嫌われたくない」「断ったら悪い人と思われそう」と、つい引き受けてしまう人も多いですよね。
そういう人こそ、気をつけてほしいのです。
気づいたら“言いなり”になってしまう前に
相談を受け続けているうちに、気づけば相手の言いなりになっていた……なんてことになれば、自分自身が苦しくなってしまいます。
だからこそ、「相談があるんだけど」と言われた最初の瞬間が、いちばん重要です。
そのひと言を受け取ったときこそ、相手との距離感を見極め、どこまで踏み込むかを冷静に判断することが、自分を守るためにとても大切なのです。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。