原子力発電所の再稼働をめぐり、住民説明番組で社員にやらせメールを指示した九州電力は企業のコンプライアンス問題に直面した。事実究明中の第三者委員会の郷原信郎委員長に、九電問題について聞いた。
(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 小島健志)
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──九州電力の第三者委員会委員長に就任した経緯は。
2006年に中国電力の土用ダム測量データ改ざん問題にかかわって以来、全国8電力に対してコンプライアンスの講演会を行うなど、電力会社とは付き合いが深い。
「やらせメール」問題が発覚した後、九電は経済産業省に報告書を出した。だが、事実関係が解明されるものではなく、その対策は不十分で、お茶を濁そうとしているように見えた。
そのときに声がかかった。弁護士の調査チームをつくり第三者委員会を置くことを提案し、9月末までに事実解明と再発防止策をまとめ報告書を出すことにした。
──早速、古川康佐賀県知事のやらせの関与が明らかになった。
直接的にやらせメールを投稿するよう求めたものではなかったが、九電担当者のメモだけを見ると、古川知事が一方的に要請しているようにも読めた。すぐに確認すると「一般的な経済界の要望が聞こえてこないので、それを表に出すよう言った」という話だった。
最初に九電社長と会ったときからこの対応に苦慮していると聞いていた。全体から見れば一つの引き金となったことは否定できない。