
多くの被害女性が声を上げた悪質ホスト問題は、改正風俗営業法(風営法)の可決、成立にまで発展した。同問題の背景には、ホスト・ホストクラブとトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)の絡みも指摘される。歌舞伎町の夜の街に詳しい高野聖玄氏(STeam Research & Consultin取締役COO)は今春、元警視庁警視の櫻井裕一氏と共著「匿名犯罪者」(中公新書ラクレ)を刊行した。その高野氏に日本一の繁華街の現状や、トクリュウ問題について話を聞いた。(構成・聞き手/ライター 富岡悠希)
トクリュウとつながった歌舞伎町
「モラルの低下」が加速している
――歌舞伎町のホストクラブとトクリュウとは深い関係にあるのでしょうか?
前提として、きちんとクリーンに経営しているホストクラブもあることをお伝えします。それでも、多くのホストクラブが多額の売掛を女性に負わせてきたことから考えると、ホスト業界全体でのコンプライアンス意識は世間一般よりは低いといえます。

その中で、一部のホストやホストクラブ経営者がトクリュウとつながり、犯罪収益を回しているのです。私が関係者に取材した成果と、新宿署の組織犯罪対策課課長も務めた警察OBである櫻井氏の最新の情報・分析による両方から指摘できます。
――風営法改正があったほか、歌舞伎町のホストクラブに対する警察の目も厳しくなっています。そのような中でホストクラブとトクリュウの関係は弱まっていく方向になっているのか、それともまだ切れそうもないのかは、どう見ていますか?
書籍の取材では、相当幅広くホストクラブの経営者に話を聞きました。彼らいわく、2000年代前半までは反社、暴力団とのつながりが強かったとのこと。それが2010年代には薄れてきました。背景には暴力団が表立って活動できないように、警察の縛りが進んだことがあります。