同社のマーチャンダイザーは、Web上のコミュニティに参加しているファッションに敏感なユーザーと対話しながら、自社ブランドの新商品を開発している。マーチャンダイザーとは、商品の企画から販売、マーケティングまでを一貫して担う仕事だ。

 著者らは、スタイルセイント社で成功したような新しいタイプのマーチャンダイザーを「コミュニティ・マーチャンダイザー」と名づけている。そして、今後売れる商品を開発するには、消費者コミュニティと対話しながら商品企画を進める仕事が重要になると予測する。

 情報があふれる現代、消費者の嗜好は多様化しており、変化も激しい。アパレル業界で売り手側がその年のファッショントレンドを予測し、それに合わせた製品を投入するという従来のやり方ではうまくいかなくなってきている。それよりも消費者コミュニティとコミュニケーションをとりながら、直接嗜好を汲み取る方が確実というわけだ。

 冒頭で触れた、私の娘が担当することになったフロントエンドエンジニアは、Web技術をいかに活用して顧客との接点を作っていくかが問われる仕事だ。技術力やデザインスキルの他に、顧客のニーズをしっかりと理解する深いコミュニケーション能力が要求されるのだろう。

 結局、さまざまな仕事がロボットやAIでこなせるようになってきている現代でも重要なのはコミュニケーション能力なのではないか。そのあたりに、これからのイノベーションやビジネス創出のヒントがあるのだと思う。

 なお、本書の各章には「未来レポート」という2027年の状況を予測した架空のストーリーが掲載されている。それらをヒントに、自らの業界の10年後を想像してみてはいかがだろうか。

(文/情報工場シニアエディター 浅羽登志也)

情報工場
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