過去の運用実績で
説明している

 複利効果を使った勧誘文句では、「バブル崩壊やリーマンショックのような危機を経ても、長期で運用していたから結果として3〜4%で回っていた」といったものも多い。

 未曾有の危機を乗り越えても、それだけのリターンがあったと言われると、非常に説得力があるように思える。 

 これ自体、事実に基づいているのだろうから、恐らくは正しいのであろう。ただ、だからと言って、どんなマーケットの状態になろうとも、大丈夫だとは決して言い切れない。

 こういったセールストークは、言ってみれば行動経済学の概念で、直近で話題になったことの印象が強く残り、判断に対して大きな影響を与えるという「プライミング効果」を活用したものだと言えないこともない。

 しかしながら、投資において利回りが3%であったとか、4%であったというのは、一定期間運用を続けた結果、得られた収益を複利計算で1年当たりに置き換えた場合のこと。あくまで過去の数字に過ぎず、今後も同じ結果になるとは誰にも予測できないのである。

 確かに世界の市場全体を考えれば、資本主義経済が続く限り、そして世界全体で人口が増加する限りは、世界のどこかで経済成長を続ける国が存在するだろうから、世界経済も全体としては成長し、市場も拡大していくであろう。

 だが、どこまでいっても将来は「不確実なもの」であるということを忘れてはならない。投資で失敗しないためには、マーケットに対して謙虚さを持ち続けることが必要なのだ。

 こうした二つの視点から、安易に「3%複利」といった例えを用いること自体が、いかがわしいことだと筆者は考える。