正直、安倍政権が崩壊する時は、自公政権そのものが瓦解することを意味している可能性も高い。再び宏池会に自民党のリーダーの座がめぐってくるからと言って、それが岸田政調会長に総理大臣のイスが回ってくる機会となるかどうかは、まさに「時の運」といえよう。宏池会にお鉢が回ってきた、という事実こそが、自民党がもはや後がない状況にあるというメッセージになるのである。

自民党の人材はやっぱり豊富
安倍一強を支えるのは「ダメ野党」の存在

 また、閣僚経験者を再利用したことを「自民党の人材不足だ」と揶揄する有識者もいるが、筆者からすれば、「やっぱり自民党は人材層が分厚いな」と感じる。支持率が急落して、問題閣僚を退陣させた後にも、すぐにこれだけの重鎮を揃えることができるからだ。

 例えば、中川雅治環境・原子力防災大臣は大蔵官僚出身で、環境省の事務次官まで務めたキャリアがある一方、ハイジャック事件に遭遇し、犯人捕獲に貢献した経歴まで持っている。吉野正芳復興・原発事故再生大臣は、福島県選出であり、2011年3月の震災では自宅や選挙事務所も被害にあった当事者だ。茂木敏充経済再生・人づくり革命大臣は、元マッキンゼー出身。平成研(額賀派)に所属しているからか、あまり「改革派」と評価されない声もあるが、豊富な民間での合理的な改革経験をぜひ生かしてほしい。

 このように、じっくりと一人ひとりの経歴を眺めてみると、自民党の人材は分厚い。人材が厚いか、乏しいかの判断は、そもそも野党との比較で論じられるべきである。

 野党第一党である民進党に目を向けてみれば、蓮舫氏が突然代表を辞任。前原誠司衆議院議員と枝野幸男衆議院議員が代表選を争う構図だが、正直、どちらも使い古された感が否めない。そんな盛り上がりの欠ける代表選を目前にして、細野豪志衆議院議員が離党。

 大阪では一定のプレゼンスを保つ日本維新の会にしても、橋下徹氏がいなくなった今、存在感は皆無に等しい。

 野党側にまったく選挙態勢が整っていない現状では、どんなに安倍政権の支持率が下がっても、自公政権が倒されることはないだろう。唯一、自民党に脅威を与えられるとすれば小池百合子都知事が新党を立ち上げた場合だろうが、それでもその勢力は東京都の一部に限定されるだろう。

 すなわち「強い自民党」を支えているのも、岸田総理の誕生が期待されるのも、何を隠そう「ダメ野党」の存在によるものなのだ。