進むEV用バッテリー開発、「1充電で走行距離2倍」「コスト半減」は叶うか?

リチウムイオンから第2世代LiBへ
EV用電池はどう発展するのか?

EV(電気自動車)用電池(バッテリー)は、今後どのように発展していくのだろうか。現在、EV用バッテリーの主流はリチウムイオン電池(LiB)である。そのエネルギー密度は100~150Wh/kg、つまり電池1kgで100~150Wの電球を1時間点灯させられる電力だ。現在開発中の第2世代LiBは200~300Wh/kg、2020年代に実用化が予想される第3世代LiBは300~350Wh/kgが可能になるといわれる。

 EV1台当たりの電池重量が100kgだとすると、現在使える電力は10~15kWh。今後数年で第2世代LiBが登場すれば、電池重量はそのままで20~30kWhが可能になる。バッテリーの改良と同時にモーターの効率が改善されれば、EVの1充電当たりの走行距離は現在の2倍近くになると予想される。

 実際、第2世代LiBの開発現場からは「正極(プラス側)にニッケルを使い、負極(マイナス側)にシリコンを使うというタイプは有望だ」との声がある。高価なコバルトなどの使用量を抑えれば、コストも安くなる。

 ただし、その一方で「化学反応電池の宿命からは逃れられない」といわれている。その宿命とは充電と放電の回数である。どう頑張っても「1500回が限度」だといわれている。電池の極材にもよるが、容量いっぱいに使えるのは充電・放電1000回までで、そこからは次第に充電可能量が減り(電池としての性能が劣化する)、最後は1500回付近で電池としての機能がなくなる。携帯電話などを長期間使っていると、“電池の消費が早くなる”ように感じられる場合があるが、これは充電できる容量そのものが少なくなっているからだ。