「妻を一時でもいいようにした、という点では明確にイエスです。でも確かに、今聞かれて初めて気づきましたが、相手の男に対して、男としての嫉妬はあったかもしれません。『大学の同期がどれだけ仕事を頑張っているか気になる』とか、男って社会的地位の面で同性に対して負けず嫌いなところありますからね。そこにダメージを与えるのが、相手にとって一番痛いというのが、同性として本能的にわかっていたのかもしれません」
同性と水面下でいがみ合うのは女性の専売特許ではない。「男性の嫉妬は手がつけられない」場面も確実にある。かくしてBさんはしかるべき措置を取った。弁護士を通して不倫相手の男性と話し合い、相手の妻と勤務先に事実の周知と対応を迫った。不倫相手の妻は子どもを伴って実家に帰り離婚調停へ。一方、不倫相手自身は慰謝料を払ったのち、勤務先では異動となって地方に飛ばされたようである。
Bさんの妻は相手の妻に慰謝料を払ったのち、彼の許しのもと結婚生活を続けることになった。Bさんは妻の職場へ、不貞の周知を行わなかったそうで、妻は変わらず仕事を続けている。
不倫の咎は当事者2人が負うべきだが、裏切られた被害者の感情によっては制裁が均等に行われないことがある。このケースは「男性の、同性への対抗意識」があったからこその結末を迎えたのかもしれない。
リアリスティックな対応
激情は形を変えて発露
妻の不倫に気づいたCさん(42歳/男性)が取った対応は、きわめて現実的なものだった。
妻の挙動に不信を感じ、どうやら不倫をしているかもしれないと疑ったCさん。不倫を疑い始めてからは努めて「何も気づいていない夫」を装うことにした。妻の油断を誘って不倫を確信できるネタをさらに拾い集めるためであった。Cさんの思惑通り、妻の怪しい態度は相変わらずであり、決定的な証拠こそ出てこなかったものの、Cさんが「これはクロだ!」と確信するには十分な材料が揃いつつあった。Cさんは絶望とともに妻の不貞を認めさせられたのだった。