生産性向上で大事なのは効率化より「不確実性の管理」だ

 企業が生産性上昇を目指そうとするとき、2つの方法がある。

 一つは、無駄を省いて効率化を徹底させる方法。もう一つは、新しいことに挑戦して稼ぎを増やす方法だ。

 生産性とは、1人の従業員当たりの生産物、あるいは従業員の労働時間当たりの生産物と言える。これを分数で表すと、生産物/マンパワーまたは、アウトプット/インプットとなる。インプットを極力少なくするのが効率化、アウトプットを極力多くするのが稼ぎを増やすという方法になる。

 日本は、人口減少によってマンパワーの増加に頼って経済成長を実現することが難しくなっている。すでに業種によっては人手不足に直面して、マンパワーを増やしにくくなっている。だからこそ、生産性上昇というテーマが多くの人の関心事になるのだろう。ではどちらの方法をとるのがいいのか。

「不確実性」を管理するという意味
少ない探索コストで収益機会を得る

 生産性を上げることを目指して、インプットを減らすことと、アウトプットを増やすことは、まるで違う戦略だ。

 インプットを減らすのは、すでに見えている作業工程を工夫すればよいことだ。

 一方、アウトプットを増やすのは、何をやれば稼ぎが増えるのかがほとんど見えない。いわば雲をつかむ作業に似ている。多くの場合、見えやすい効率化が選択されて、見えにくい新しい稼ぎへの挑戦が敬遠されやすい。

 しかし、本当に大切なのは、未知なるものへの挑戦の方だろう。