今度は誰が始末されるのか…
会社の中は地雷原だらけ

 これを受けて、社内では、「今度は誰が始末されるのか」「どんな地雷があるのか」とおよそ社長の「粛清対象」ではないはずの一社員までが疑心暗鬼にかられる。社員は萎縮し、「粛清」を恐れて新しいことができなくなる。

 社員にとって会社の中は地雷原である。これが冒頭で紹介した「タブーが溜まる」という状況である。

 処分の理由に一貫性があればいいのだが、権力を掌握するために、反対派を減らすことだけに照準が当たっている場合、一貫性がまったくない。そのため、「社長の機嫌を損ねるかもしれないので避けた方が無難」というタブーばかりが蓄積されていくのである。

 戦略や行動指針が定まり、理念に忠実な経営が行われているのがよい会社だ。しかし社長がある程度権力基盤を固めなければ、戦略をまっとうすることができないのもまた事実である。そして、新しく権力の座についた者は、さらに大きな権力を掌握し続けるための権謀術数を駆使する。

 そう、すべてはマキャベリズムなのだ。

 マキアベリは『君主論』で、「臣下に権力者の心持ちを読ませてはならぬ」と説く。そこから「敢えてわけのわからない理由で怒ることによって畏怖させる」ことを地で行く権力者もいる。いわゆる「不機嫌オーラ」をまとうことで、威信を保つのもひとつの手であろう。
 
 政権を奪取し権力を掌握した社長は反対派の動向のみならず、反対勢力の萌芽にも当然敏感である。かなり無理をして権力を確保したわけだから、自分が権力を離れたとき、どんな報復を受けるかわからない。怖くて長期に居座らざるをえない。