米国とオーストラリアによるアンザス条約、日米同盟、米韓同盟があって、それらのネットワークにインドを加えるべきと考えます。それからシンガポール、軍事力的にはやや疑問符があるがタイ、フィリピンなどもつなげていく。

 要は、バランス・オブ・パワーをどう保つかです。中国がけしからんとか言っても始まらん話だ。

防衛予算はどこに
アクセントを置くかが問題

――現政権は防衛大綱の見直しを表明していますが、今後、防衛予算は増やしたほうがいいのでしょうか。

 必ずしもそういうわけではありません。防衛関係費の話は専守防衛とは何かという話に帰着します。専守防衛とは「相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限る」受動的な防衛戦略です。

 国会でも専守防衛と言うと、マジックワードのように皆が納得してしまうが、実は、国土が戦場になることを想定した“最も難しい防衛思想”です。

 そんな防衛思想を取っている国は世界中にどこにもない。国土が戦場になるのを前提とする一種の籠城戦のようなものです。

 籠城戦が成り立つ5つの条件がある。1つは守りが堅固であること、2つが国土に縦深性があること、3つは人員、装備、燃料、弾薬、食糧が十分あること。そして同盟国が助けにきてくれること。最後に、国民の意識が統一されていることです。

 じゃあ日本の守りは堅固でしょうか。航空自衛隊の戦闘機がどれだけシェルターに格納されているか。ミサイルが飛んできたらただの鉄くずになってしまう懸念さえあります。

 国土の縦深性はない。弾薬も十分にはない。「たまに撃つ弾がないのが玉に瑕」って川柳があるぐらいです。人員も足りません。

 本当に同盟国である米国が有事に現れるのか。精神論ではなくて、日米同盟をNATO条約と対比したことはあるのか――ということを、国民の共通理解の下で、具体的に考えなければいけません。

 防衛予算は闇雲に増やすのかということではなくて、どこにアクセントを置くかという問題です。私は、海と空だと思っています。それと水陸両用部隊、サイバー戦、対テロ戦も重要です。

――装備は、防衛産業と表裏一体ですね。

 三菱重工、川重重工、IHIの三重工の防衛事業の業績はいずれも伸び悩んでいる。