半導体世界最大手のインテルにマカフィーが買収されたことは、IT業界に大きな驚きをもたらした。マカフィーはインテルの100%子会社となり、同社のソフトウェア&サービス部門傘下で事業を行なう。インテルとタッグを組みながら、専業セキュリティメーカーとしてさらなる飛躍を狙うマカフィーは、どんな未来図を描いているのか。マカフィー日本法人の黎明期から同社を率いてきた加藤孝博・会長兼社長が、インテル・マカフィー連合誕生までの過程と今後の戦略を語る。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也、撮影/宇佐見利明)
劇的に増える「脅威」に対抗すべく
マカフィーとインテルのニーズが合致
――インテルによるマカフィーの買収は、業界で大きな驚きをもって受け止められた。マカフィーは、インテルの100%子会社となり、同社のソフトウェア&サービス部門の傘下に置かれた。インテルと共同歩調を歩むことになった経緯は何なのか。
Photo:Toshiaki Usami
IT業界を取り巻く状況は刻一刻と変化している。今後、スマートフォンなどのモバイル端末がネット化されてくると、デバイスの数が飛躍的に増えていく。世界で20億程度のデバイス数は、将来的には500億程度まで増える見通しだ。それに伴い、ウィルスの数も劇的に増えていくだろう。
そうしたなかで、確実なセキュリティを簡単・スピーディに提供していけるテクノロジーをいかに構築できるかが、マカフィーの重要な課題となっていた。
市場のニーズに応えるためには、マカフィーのセキュリティ技術とインテルのハードウエアを組み合わせて提供することが、最も理想的な方法だった。インテルとは、その可能性を探ってきた。
――マカフィーとインテルは、以前からセキュリティ分野で提携していた。買収の決め手となったのは何か。
やはり「技術」だ。提携を通じた技術部門同士の交流のなかで、両社が求める技術やビジョンが合致していることに確信が持てた。インテルもうちだけがターゲットだったわけではないはずだから、結果的に両社が求めるものが合致したということだ。