なぜ野田首相は選任を誤ったのか
しぼむ“大震災管理内閣”への信頼感
新閣僚の鉢呂吉雄経産相が、不適切な言動によりわずか9日で辞任に追い込まれ、枝野幸男前官房長官がその後任となった。
彼の発言内容は大臣として信じ難いことだが、どうしてこんな人を重要閣僚に起用したのか。野田佳彦首相の任命責任を問われても仕方がないだろう。
菅直人政権は、政権発足後9ヵ月で大震災に遭遇したので、態勢は大震災対応というわけにはいかなかった。
だが、野田政権は、最初から大震災対応を最優先の課題にして発足した言わば“大震災管理内閣”である。
そして、経産省は、エネルギーや原子力行政を担当しているから、大震災管理内閣の最重要の柱であるはずだ。
首相は組閣後、「適材適所」を強調したが、重要閣僚の選任を誤った不明の責任は重い。
新内閣は発足当初から閣僚の失言が相次いでいる。これはいつものことだが今回は特に多いように思う。
問題は、鉢呂氏の適格性にとどまらず、野田首相や内閣全体の姿勢が問われるところにある。大震災に本気で立ち向かっているのかと疑われたら、政権への信頼感や期待感は風船がしぼむように消失してしまう。
代役に枝野幸男氏を起用したことは順当な人事だろう。最初からそうすればよかったのである。
枝野氏が優先して取り組むべきは
原発事故、新エネルギー計画への対応
枝野新経産相に特に期待したいことは3つある。