世界的な8月の株価急落によって、景況観は急速に冷え込んでいる。OECD(経済協力開発機構)は9月8日に経済見通し(中間報告)を発表した。今年10~12月期の成長率見通しは、米国0.4%、日本ゼロ、ドイツマイナス1.4%であり、リセッション瀬戸際の様相が濃厚になった。

 特に日本の場合、今年5月時点では、10~12月期の成長率見通しが3.5%と予想されていただけに、大幅な下方修正である。

 一方、同日に発表された国内エコノミストのコンセンサスである「ESPフォーキャスト調査」では、10~12月期が2.6%と依然プラス成長予測である。8月時点の4.6%からは下方修正されたが、OECD予測との隔絶は大きい。やはり、国内エコノミストは、春以降の「V字型回復シナリオ」に執着しているようだ。

 とはいえ、8月の景気ウォッチャー調査では、現状判断DIが47.3と前月の52.6から急低下し、先行き判断DIも47.1と2ヵ月連続の低下となった。円高傾向の定着や、「地デジ特需」の消滅もマインドに影響を与えているようだ。

 また、8月の工作機械受注額も前月比で12.7%の減少で、8ヵ月ぶりに1000億円を下回った。特に、海外向けが前月比20.8%減少し、中国特需にわいた春とは様相が一変している。やはり、中国人民銀行による連続的な金融引き締めや、円高による価格競争力の低下が顕在化し始めている。

 株価は敏感に反応した。ファナックは8月1日に上場来高値1万5420円を付けたが、9月12日には1万0090円まで売り込まれ、34.5%の急落となった。短期間のうちに上場来高値と年初来安値の更新という異例の事態となった。それだけ、事業環境が急変したわけだ。オークマ、東芝機械、森精機製作所などの工作機械株、コマツ、日立建機などの建機株も、軒並み年初来安値水準に沈んだ。