金融機関が勧める「外貨建て商品」への投資がオススメできない理由

 銀行を始め、証券会社や保険会社といった金融機関は、どこも「外貨建て資産を持つことの重要性」を訴える。その理屈は一見、もっともなように見えるものの、じっくり考えてみると本当にそうだろうかと疑問に思われるケースも少なくない。

 今回は、当たり前のように言われている「通貨分散」や「外貨建て資産」への投資について、個人投資家としてどうとらえるべきかについて考えてみたい。

「外貨を持つこと」と
「外国資産を持つこと」は違う

 多くの人は、どうやら「外貨を持つこと」と、「外国資産を持つこと」の意味を混同しているようだ。しかし筆者は、外国資産を持つことの意味はあると思うが、外貨を持つことについての意味はそれほどあると思えない。

 一般的によく言われるのが、「今後の日本の経済情勢を考えた場合、日本円だけしか持っていないというのは、大きなリスクだ」ということだ。果たしてそうだろうか。

 いくらドルやユーロを持っていても、まずそれを日本国内で使うことはできない。実際の生活において日本円を使うのだから、いくら外貨を持っていても、いったん円に換えなければ使うことはできないからだ。