iPhone X/8/8 Plusはパス、という人にも楽しみなのがiOSの更新だ。
iOS 11への更新はiPhone 5s以降が対象だが、タダで新機能の追加や使い勝手の刷新が行なわれる。その際に問題になるのが通信容量だ。
前回の更新は1GB以上必要で、少ない通信容量プランの人で自宅などにWi-Fi回線がない人には“ギガが減る”大打撃だった。
そこで、iOS更新などに限らず、家の回線がない人に向け、格安SIMで安く回線を作る方法を考えてみた。
格安SIMは一時的利用も簡単
格安SIMの特徴として、3大キャリアのサブブランドな一部を除けば、一時的な利用でも気軽に利用できることが挙げられる。
LTEや3Gに対応するルーターやテザリング対応のスマートフォンなどの機器が必要となるが、データ専用回線であれば、加入して1~2ヵ月程度だけ利用して解約しても、違約金などはまったくかからない。
初期費用は通常3240円~3700円ほどかかるが、キャンペーンや家電量販店などで特価で売られている加入パックを使うことで初期費用も限りなくゼロに近づけることができる。
そして、毎月のコストも3GBなら1000円以下、10GBでも2500円以下と3大キャリアでプラン変更したり、容量追加を申し込むよりも格安だ。
また、「OCN モバイル ONE」など課金初月は基本料無料というところもある。最初の月というのは速度チェックをするなどして容量を使いがち。
OCN モバイル ONEならば最大30GBまで選べる大容量プランで利用開始し、その後、様子を見ながら必要な容量に落としていくということもやりやすい。
モバイルでも使うか、家だけで使うかで必要なものは変化
Wi-Fi環境だけならモバイルルーターに格安SIMを差して家に置いておけばよく、必要に応じて持ち出しもできる。
月末になって高速通信容量が足りず“ギガが足りない”となったときでもモバイルルータも持ち運べばなんとかなる。
モバイルルーターの価格だが、速度も動作も最新のものならNECプラットフォームズの「Aterm MR05LN」で2万円前後。安いものならジェネシスホールディングスの「MWR-01-LTE」が5000円程度で手に入れられる。
また、とにかく動けばいいというのなら、豊富に出回っているドコモのモバイルルーターの中古という手もある。機種や状態を選ばなければ中古ショップで2000円程度から、周波数帯に多く対応したものでも5000円出せば最新機種と遜色ない性能を発揮するモノが購入可能だ。
有線LAN環境と組み合わせる必要があるなら有線LANを装備したクレードル付きのモバイルルーターもある。ドコモのモバイルルーターはクレードル付属機種が多く、中古でも付属していれば活用できる。Aterm MR05LNならオプションでクレードルを購入可能だ。
家で使うオススメの格安SIM向けルーターが登場
持ち出しての利用はできないが、家の有線LAN接続のPCもテレビもIoT機器が誰でも安定して使えるという点まで含めて、過去に「ADSLの代わりになるか!? 格安SIMで固定回線環境を構築! ADSLの代わりになるか!? 格安SIMで固定回線環境を構築!」と題して格安SIMで「お家回線」を作ってみようとしたことがあった。
その後、記事で紹介はしていないが、筆者の近辺ではヤマハの「RTX1200」とドコモの「L-02C」に格安SIMを組み合わせて安定運用させていた例もある。
モバイルルーター+クレードルの組み合わせでは、なぜ安定して使えないかというと、電源オンがルーターのボタンの長押しであるということ。
そして、電源を切っただけでは回線が止まらないことがある。設定の問題でもあるが、モバイルルーターでは何かの拍子にスリープになってしまうこともある。
自分だけが使う回線なら問題ないが、離れた場所に置いておく回線では、勝手にACアダプターが抜かれたりして無用のトラブルが起きかねない。電源の抜き差しを他人にお願いするという対処もやりにくい。世の中にはボタンを長押しして電源を入り切りするという操作が苦手な人もいるからだ。
自宅回線用のLTE対応ルーターが登場!
過去にはUSB端末や高価なルータを使うなどして実現していた自宅用固定回線の仕組みだが、2017年夏になって最適な機種が登場した。NECプラットフォームズの「Aterm HT100LN」だ。
バッテリーは搭載せず電源ボタンもない。ACアダプターを繋げば即動作し、外せば動作ストップという単純明快な製品。通信状態は天面の大きなLED表示で、トラブルシュートも比較的簡単そうだ。
気になる価格も登場直後ということもあり、単体購入で1万8000円程度と決して安くはないのもの、簡単に使えることと、しばらく使えばなんとか元が取れそうな金額だ。
今後、値下がりや、筆者の提案するような組み合わせが格安SIM事業者からSIMとセットで安く売られる可能性もある。
Aterm HT100LNの使い方は、箱から出して格安SIMを挿入し、ACアダプターで電源を入れ、スマートフォンと無線接続(またはPC、有線でも可)、ウェブブラウザーから設定画面に入る、設定パスワードを入力、格安SIMを選ぶ、という手順となる。
Wi-Fi接続したい端末があれば、WPSやルーターに書いてあるセキュリティーキーを使えば接続でき、箱の中に入っているQRコードでも接続設定ができるという点はNECプラットフォームズのほかのルーターと同じ。
実際に使ってみたが、すぐセットアップが完了して使い始めることができた。コスト節約などで既存のADSLや光回線を置き換える場合には、本体の無線LAN機能をオフにしたり、IPアドレスを変更することができるため、既存のネットワークそのままに置き換えることも可能だ。なお、本体のWi-Fiの親機機能は2.4GHz帯と5GHz帯を切り替えて利用する。
SIMはドコモネットワークのもののほか、auネットワークにも対応。手持ちのauネットワークのmineoのSIMを挿入してみたが、APNリストから選ぶだけで安定して高速な通信が可能だった。
格安SIMで自宅回線の容量は大丈夫か?
最後に、格安SIMでデータ容量は大丈夫かという問題だが、今まで家の回線がなかったり、自宅でWi-Fi設定をしていない人なら、外で使っていた容量の一部をシフトするだけなので、データ使用量は察しがつくと思われる。
3大キャリアで月間契約容量がギリギリという人は家での通信を格安SIMに逃がせば、容量オーバーもなく快適になるはず。冒頭で触れたiPhoneのiOSのバージョンアップがあってもなんとかなりそうだ。
あまり使わないPCなど、格安SIMだけで家のネット回線を担う場合はどうかだろうか。筆者のまわりの実績を紹介すると、たまにWindowsパソコンの電源を入れてネットを見るという超ライトユーザー2名の家なら、繰越ありの月間3GBのプランで事足りた。Windows Updateもだいたい繰越容量のなかで吸収しまうことができた。
ただ、動画の視聴とオンラインストレージの利用によっては、使用容量が一気に跳ね上がるので注意が必要だ。
スポーツ配信の「DAZN」など、それまでCS放送で視聴していた視聴習慣をそのままネットにシフトしてしまうサービスも登場しているため、そこは注意が必要となる。
また、固定回線と違って格安SIMなら残容量がすぐに確認できる。「イオンモバイル」のようにその時点の残容量しか確認できないところもあるが、ウェブで毎日の残容量が確認できる「mineo」や、スマートフォンアプリでグラフで確認できるOCN モバイル ONEなどがある。容量をこまめにチェックしておけば、無駄なく容量のコースを選ぶことができるだろう。