米国がやるとすれば「先制攻撃」、相手が戦争をする兆候があるということで、先にたたくということがあるかもしれません。「先制自衛権」と言っていいかもしれません。しかしこれをやれば、本格的な戦争に発展する可能性があるわけです。双方に多数の犠牲者が出るので、米国としても相当な覚悟が必要です。

──米国としては、北の核やミサイル実験をやめさせる手段がないということですか。

 だから現状は、米韓で軍事演習をしたり、空母を出動させたりして、2013年の北の核実験を機に新しく作り直した「5015」作戦で、「先制攻撃や斬首作戦をいつでもできるのだ」ということを、北に見せつけるしかないわけです。ただ、それだけでも金正恩氏は、十分怖いはずです。

 それに米国にとっても、北朝鮮がミサイルをグアムなどの米国領海に落とした場合には、自衛権行使の口実になります。まさにそれが北にとっては「虎の尾」を踏むことになるのです。

 金正恩氏は、米国に自衛権を発動させてしまったら終わりだということで、微妙な所にミサイルを撃つわけです。グアムについて、私は最初から撃たないと思っていました。しかし、グアムや米国本土を外した太平洋の中央に日本列島を越える方法でミサイルを撃ってくる可能性は今後も十分にあります。

イージス艦の仕事は
ミサイルの「落下防止」

──日本の「守り」は大丈夫なのでしょうか。

 まだ実験中であることから、日本を越えるミサイル発射をした場合、失敗してその一部が日本国内に落ちる可能性があります。日本にとってはひどく迷惑な話です。

 現状のミサイル防衛システムは、イージス艦搭載の迎撃ミサイル「SM3」が、宇宙空間で敵のミサイルを撃ち落とす、撃ち漏らした場合は、地上に配備された「PAC3」が待ち構える、いわば二段構えです。

 今のイージス艦などの仕事は、北が発射したミサイルをじっと監視し、間違って日本に落ちてくるものを撃ち落とすことです。撃ち落とせる確率もかなり高い。実際、ハワイでの訓練も見ましたが、今、配備されている「SM3ブロック1a」は全部、命中させています。