「部下やメンバーに仕事を任せられるようになった」
「同期より先に出世することができた」
そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』『パーフェクトな意思決定』シリーズ四部作だ。これまで4500社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「数字に強くなれる」「仕組みで解決できる」という思考法を授ける本シリーズは、さまざまな企業・業界・個人から圧倒的な支持を集めている。この連載では、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方について指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
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ダメ管理職の口グセとは?
「話をちゃんと聞いてあげてください」
「まずは傾聴が大事です」
こうしたアドバイスを素直に受け取った結果、「聞いてばかりで決められない上司」が量産されるという現象が起きています。
メンバーの声に耳を傾けること自体は重要ですが、「傾聴だけ」では組織は回りません。
今回は、ダメな管理職がよく口にする、組織を迷走させるワーストな一言を取り上げます。
ワースト1:「みんなが納得するまで、もう少し話を聞いてみよう」
一見、民主的で部下思いのようにも聞こえるこの言葉。
「みんなが納得するまで、もう少し話を聞いてみよう」
ですが、これが頻発する職場では、物事が決まらず、現場のフラストレーションがたまっていきます。
このセリフの最大の問題点は、「決める」ことから逃げていることです。
リーダーの役割は意見をまとめることではありません。
必要なのは「判断」と「決断」です。
すべての人が納得する状態など、組織ではまずありえません。
多数決にすれば不満が生まれますし、少数意見を優先すればスピードが落ちます。
どちらにしても「決めた人が責任を取る」構図がないと、職場はまとまりません。
「傾聴」が機能するのはいつ?
もちろん、傾聴をまったく否定するわけではありません。
メンバーの感情に寄り添い、背景を理解しようとする姿勢は、チーム運営において欠かせない要素です。
しかしそれは、「最終的に何を優先すべきか」を決める軸があってこそ生きるのです。
部下の話を聞き、全員の意見を並べた結果、「じゃあどうするの?」と聞かれても何も答えられないようでは、リーダーとは言えません。
判断を避けて傾聴に逃げているだけの状態では、組織は「話すだけ話して何も決まらない会議」の連続になります。
この問題については『リーダーの仮面』という本でも、次のように書きました。
現場に決めさせるのではなく、自分で決断し、その結果を引き受ける覚悟が求められます。
――『リーダーの仮面』より
この一文にある通り、傾聴は「決めるための材料集め」であって、それ自体が目的になってはいけません。
聞くだけで終わるなら、AIでも代用できます。
人間のリーダーに求められるのは、そこから一歩踏み込んで「決める」ことなのです。
迷いながら決断しよう
傾聴は重要なスキルですが、それだけでは不十分です。
「みんなが納得するまで…」と延々と聞き続ける上司は、むしろメンバーを疲弊させ、組織の推進力を奪います。
リーダーには、迷いながらでも決断し、責任を持つ姿勢が求められます。
(本稿は、『リーダーの仮面』の著者・安藤広大氏が書き下ろしたものです)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4500社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計178万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。










