食品を軸にした安売りというテーマは今後の高齢化による小商圏化、年金生活者が増加することなどを背景として節約志向に合致した業態といえる。

 さらにドンキには驚安堂やエッセンスのほかに「ピカソ」というミニドンキのような業態もあり現在10店以上を展開している。

 だが結局、ドンキの小型店はすべて合わせても20店までいかない規模だ。しかも、すべてコンセプトが違うから総合力も発揮できていない。

 ドンキは情熱空間から10年以上もの間、小型店を模索しながら、まとまった出店数を展開できる小型店で成功していないのだ。

「(流通の新業態の実験は)メーカーの研究開発費のようなものである」とダイエーを創業した中内功氏は語ったことがある。

 だが、なぜ、ドンキは試行錯誤の連続なのだろうか。出店に弾みがつかない理由としていくつかのポイントがあると見られている。

大きな足かせは
強烈な成功体験

 大きな足かせは、ドンキ業態による強烈な成功体験である。これまで展開してきたすべての店でドンキの小型版を作っているきらいがある。ドンキの標準店には「宝を探すように商品を見つける楽しさがある」(同社)のは確かであり、それが大きな魅力と強みになっている。

 しかし、これまでのドンキの小型店は300平方メートルなど、大きくても1000平方メートル以下。ドンキの標準店が醸し出すそんな"時間消費"型の店舗、雰囲気づくりはなかなか実現できない。その物理的なスペースと買い物の楽しさの演出という相克に、ドンキも悩んできたと見られる。